もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

デザイナーベビーとAIが支配する社会

2018年11月29日 | 社会・政治問題

 初の遺伝子編集による子供が、中国で誕生したことが報じられた。

 担当した中国人研究者は、HIVに感染している父親からの父子感染を防ぐためとしているが、他にも精液からHIVウィルスを除去して体外受精させる方法もあることから、実質的なデザイナーベビーの誕生と評価されている。ウィキペディアでデザイナーベビーとは「遺伝子を選択して目や髪の色といった特定の身体的特徴を持つ子供の生まれる確率を上げる技術的アイデアであり、1990年代から受精卵の遺伝子操作は遺伝的疾病を回避することを主目的に論じられてきたが「より優れた子供を」「思いどおりの子供を」という欲求に従い、外見的特長や知力・体力に関する遺伝子操作も論じられるようになってきた」と要約されている。科学の世界では既にデザイナーベビーをいつでも誕生させ得る域にまで達しているが、倫理上の問題と本人の将来や2世への影響が懸念されることから、世界各国は強く自制している現状であるらしい。今回の中国人研究者の行為は先端技術の開発に成功したものではなく、世界の倫理観に挑戦したという単なる売名であるとも評価されており、何でもありの中国でも流石に当局は調査して必要ならば処分するとしているが、パンドラの箱を開けてしまった中国人研究者の罪は極めて重いと思う。一旦歯止めを外されたルールは、闇社会にとって格好の錬金術であり、人知れずにデザイナーベビーが増えていくことすら予想される。近い将来、オリンピックを含むスポーツの世界では、デザイナーベビーの扱いが問題になる日も近いのではないだろうか。

 これまで、特異な能力を持つミュータントやサイボーグはSFの世界であったが、デザイナーベビーの出現によって、現実に起こり得るものとなってきた感がある。人為的に作り上げられたミュータントとAIが支配する未来社会はどのような物なのだろうか。おそらく現在の格差社会が理想郷と思われるほどの階級分化社会となるであろうが、その中にあっても、先祖の不甲斐なさの故に引き続き貧者・被抑圧者の位置に甘んじているであろう我が子孫に対して、申し訳ない気持ちにさせられる出来事である。