韓国の駐米大使館職員が懲戒免職処分を受けたことが報じられた。
に分理由は、トランプ大統領訪日に際して「30分でもいいから韓国に立ち寄る」ようトランプ大統領に文大統領が懇願した電話会談の顛末を野党議員に漏らしたこととされている。韓国大統領府は”懇願”の事実を否定しているが、職員を行政処分としては最も重い懲戒免職としたことから、はからずも懇願の事実を認める結果になったとともに、文大統領の怒りの程度が推し量られる。ここで思い出されるのがソ連時代の有名な小咄。《赤の広場で「ブレジネフのバカ」と叫んだ男が逮捕されたが、罪名は侮辱罪ではなく国家機密漏洩罪だった》というもので、登場人物はフルシチョフからチェルネンコまで4代の書記長が引き合いに出されるが、ブレジネフが最もしっくりするとされている。ブレジネフはスターリンに次ぐ長期政権で国威を一時的に高揚させたが、プラハの春の蹂躙、珍宝島を巡る中国との国境紛争、アフガニスタン侵攻、中東政策の失敗等により、ソ連邦崩壊の遠因を作り、政権終期には老醜をさらしているからである。表題の韓国大使館員の処分に話を戻すと、ソ連小咄を絵に描いたようなもので、処分理由は公務員の倫理規定違反よりも「文大統領の醜態」という国家機密を天下に曝した罪というところであろう。ソ連小咄は4代の指導者を俎上に挙げているが、韓国では12人の歴代大統領のうち朴父娘(正煕・槿恵)大統領を除いて、誰を登場人物としても大笑いできることは間違いのないものと思う。米朝の橋渡し役が安倍総理に移ることが危惧されるとともに、北朝鮮からは金正恩委員長のソウル訪問は袖に・開城連絡事務所は機能を失い・短距離ミサイル発射と立て続けに逆撫でされてメンツを失い、アメリカの同意は取り付けたとする食糧支援や鉄道連結も国際社会からは白眼視されるのが確実視される現状。2年も任期を残しているにも拘らず、既にレーム・ダックと化しつつある文大統領にとって、トランプ大統領に縋りついた醜態を衆目に曝されることは致命的であろう、まして、偉大(実は”尊大”の誤変換)で世界に冠たる朝鮮族との自負心に満ち溢れた韓国人の自尊心が赦すはずもないだろう。
そういえば、”熊のプーさん”を国家機密事項としてネット表現はおろか、実物の販売・流通を規制している元首がいることに思い至った。相互の情報が遮断されていた東西冷戦下に生まれたソ連小咄は広く西側社会に流布されるとともに、ロシア国内ではステージで上演されたともされているが、熊のプーさんに対しては、東西冷戦を超えた規模と範囲で規制されているらしいことを考えれば、西側と中国の冷戦「西中冷戦」は東西冷戦よりも深刻であるのかもしれない。