もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

選挙公約という微笑作戦

2019年06月21日 | 野党

 参院選に向けた各政党の選挙公約が出され始めた。

 日常の国会活動や政治活動からは程遠いものも挿まれた選挙公約。それはそれで面白く眺めているが、参院選ということもあるが、野党第1党である立憲民主党ですら政権公約と呼ばないことから、選挙限定の微笑作戦に違いない。政党の公約は、党の綱領や規約に盛り込まれているもので十分だと思うのだが、現状の問題に的を絞ったものの方が有権者の共感を得られ易いということがあるのだろう。それだからこそ、選対本部長の巧拙が問われ、選挙に強い小沢一郎氏などの活躍の場が生まれるのだろう。一般的に憲法・外交・防衛は得票に結び付かないとされているので、各野党の公約は景気対策や年金問題等の生着密着型の公約に偏重してしまう。立憲民主党も経済政策が中心で、内需拡大のために最低賃金(全国一律/5年以内)を時給1300円に引き上げ、福祉関係従事者の給与引き上げ、正規雇用者の拡大を柱とすることになるらしい。流石に財源に顧慮することなく子供手当でを提唱した民主党政権の失敗に懲りて、必要な財源は法人税や所得税の累進課税強化によるとして金持ち企業・富裕層の富が貧乏人に流れるという構図を掲げているが、政策が実現した場合に当然起こるであろう人件費高騰による生産・物流コストの上昇や企業の収益性の低下による雇用機会の減少、所謂「皆が貧しくなるスパイラル」からは目を背けているように感じられる。幸福実現党は、憲法9条改正、自衛力強化、核武装推進、原発維持を掲げたものの、消費税率5%(将来的には廃止)を掲げており、意気や良しとするものの中途半端の感を否めない。維新と社民党の選挙公約は未だ伝えられていないが、社民党の選挙公約については注目している。公職選挙法では政党要件を「議員数5名以上もしくは国政選挙での得票率2%以上」と」規定している。社民党の国会議員は現在4名(衆院2名、参院2名)であるものの2016年参院選で得票率2.74%を獲得していることから2022年までは政党としての優遇措置を得ているが、又市党首の立候補取り止めにより3名以上の当選は不可能と思うので、2022年以降も政党としての発言力を維持するためには得票率2%確保は至上命題である。我々世代には社会党連立の芦田・村山・鳩山・菅内閣の悪政・失政がトラウマになっているとともに、硬直した護憲・日米安保破棄・天皇制反対では新たな支持者を獲得することは不可能と思われるので、どのような選挙公約を掲げても党の退潮~消滅の道を辿ることは確実ではないだろうか。

 今後も、各政党から耳に心地よい選挙公約が垂れ流されることになるのだろうが、飴だけの政策など存在せず飴には付随するムチが隠されているという自覚のもとに、それを読み解かなければならない。党首討論で蒸し返された年金2000万円不足問題でも、責任追及に終始して制度設計に対する提言もなければ、法改正の提案もない。これでは、野党に政権を渡しても解決・改善の方策を持っているのかと思わざるを得ない。