もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

寒々しい話題

2022年05月21日 | 社会・政治問題

 北九州市でタバコのポイ捨てを繰り返した50代会社員が書類送検された。

 ニュースでは、検挙に貢献した清掃ボランティアの男性(74歳)に感謝状が贈られたことにスポットが当てられており、男性は3年間も道路の清掃活動をされているとされている。
 ところが、1年ほど前から同じ銘柄の吸い殻が同じ場所に大量に捨てられているのを発見した活動家が、手製看板や拾った吸い殻を集めたペットボトルを置いて注意喚起したものの、改善されないために警察と協力して「犯人」を特定したとされている。
 ボランティア活動家の行為は、将に美談でホッコリさせられるが、寒々しいのは送検された50代会社員がポイ捨てを続けた動機を「誰かが吸い殻を片付けていることを知ってから、(ポイ捨てに)開放感を感じた」と述べていることである。
 2002(平成14)年に東京都千代田区が、ポイ捨てを含む路上喫煙防止条例を施行したのを皮切りに、現在では、略全部の自治体で同種の条例が施行されているものと思っている。社会の底辺に生き、かつ禁煙2時間が限度の自分でも、外出時には公設の喫煙所を探したり、ホテルの喫煙所に駆け込んで凌いではいるものの、切羽詰まって禁煙区域以外で已む無く携帯灰皿に頼ったこともあるが、近頃は吸い殻を捨てようと思ったこともなく、ましてや清掃する人に「ざまァ見ろ」的な解放感を持つことはない。
 件の50代中年の動機からは、常人には理解できない闇が窺い知れるものであるが、余程のストレスに晒された日常を送っているのだろうと一部で同情を覚える反面、何とか直して「必死にルールを守っている喫煙者の顔に泥を塗らないで欲しい」と願うものである。

 ドクトル・マンボウ北杜夫氏は著作の中で、「原因不明の症状が出たら大学病院に行け。治療法は分からなくても病名だけは付けてくれる」と笑わしているので、50代会社員の行為も1種の病気で、それも大学病院で受診すべき病であるのかもしれない。
 一部のボランティアの独善や押し付けに鼻白むケースもあるが、暑熱・寒風を厭わずに奉仕される人に対しては、敬意を払うべきであろうと改めて思い知らされたニュースであった。