もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

海軍記念日

2022年05月27日 | 軍事

 本日5月27日は旧海軍記念日である。

 記念日設定の理由は、5月27日が日露戦争での日本海海戦で日本海軍がロシア・バルチック艦隊を殲滅した日であることに由来している。
 近代的海軍創設から30数年の歴史しか持たない日本海軍ではロシア海軍に抗すべきもなく「鎧袖一触」であろうというのが世界的評価であったが、東郷大将麾下の連合艦隊が奮戦して海戦史上類を見ない戦果を挙げたことは、日本人の誇りとして今後とも語り継がれるべきであろうと思っている。
 日本海海戦の詳細は置くとして、東郷元帥は世界の3大提督とされる。ちなみに他の2名は、ホレーショ・ネルソン提督(トラファルガ海戦で仏西(スペイン)連合艦隊を全滅させたが同海戦で戦死)、ジョン・ポール・ジョーンズ(アメリカ独立戦争で米海軍歴史上初の戦功を挙げるが、後にオランダ・ロシアの戦闘艦を指揮)とされている。
 また、海戦当時の連合艦隊旗艦「三笠」は、現在も横須賀港に記念艦として保存されているが自衛艦籍ではない。世界の3大記念艦とされるのは「三笠」のほかに、英国海軍の帆走戦列艦「ヴィクトリア」、米海軍の帆走フリゲート艦「コンスティチューション」であるが、「三笠」以外は今でも海軍籍にあって艦長以下の乗組員が乗艦している。
 「三笠」が現存する陰には日本海軍に対する米海軍軍人の尊敬によることを示す逸話が残されている。戦後の海軍解体・武装解除に伴って日本側は当時海軍籍にあった「三笠」の除外をダメモトの気持ちでGHQに願い出たが、GHQの回答は「三笠の除外・保存は当然のこと」であったとされている。三笠戦捷の相手がロシア(ソ連)であったことと海戦自体が既に歴史となっていたことも大きかったであろうが、真珠港奇襲作戦を指揮した「長門」を記念艦として残すと云えば、直ちに却下されたことであろう。

 11月3日の「文化の日」を「明治の日」に改称する動きが報じられている。11月3日を文化の日に指定したことについて公式には、新憲法公布の日を記念するためとしているが、翌年の5月3日に憲法を発布する6か月前を逆算して決定されたものであり、5月3日憲法発布に拘る理由も希薄であることから、公布の日を明治天皇誕生日(天長節、後に明治節)に合わせたものかと推測している。
 しかしながら、明治帝が制定した憲法を明治節に否定することにも疑念を持つが、新旧の価値観が混在したであろう時代としては、左右を説得するために有り得た選択であったのだろうか。