もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

豪・韓・日を考える

2022年05月22日 | 与党

 オーストラリアの総選挙で、アルバニージ氏率いる野党の労働党が勝利し9年ぶりに政権が交代する。

 モリソン首相は、在豪華僑のロビー活動禁止、孔子学院の活動制限、クワッド構築、AUKAS・原潜導入等によって、中国との決別を推進してきた。総選挙を制した労働党も外交・防衛政策はモリソン政権の方針を継承するとして選挙戦を展開していたために、直ちには新政権=親中国回帰とはならないとみられているが、労働党の重鎮には親中派が多いとされていることから、何らかの紆余曲折も予想されている。
 特に、モリソン政権の敗因の一つが、ソロモン諸島の対中安全保障協定締結を阻止できなかったこととされていることから、もはや親中回帰を図ることは不可能な民意が示されたと理解すべきかもしれない。
 ともあれ、24日から日本で開催されるクアッド首脳会合で、アルバニージ氏が新首相として出席する見通しとされているので、何らかのシグナルは得られるだろうと思っている。
 また、モリソン政権敗北には、労働党の物価抑制対策や最低賃金の引上げ公約も大きかったとされるが、物価高騰の原因は主としてロシアのウクライナ侵攻に伴う食品原材料不足と世界経済の混乱に依るもので、若しアルバニージ新政権が親中に回帰したならば中国は居ながらにして漁夫の利を得ることになる。そうなれば、習政権はウクライナ事変による先進国の物価高騰を勢力伸長の強力な武器として活用するために、更なる混乱の拡大と継続のためにロシア支援を拡大することも予想される。

 韓国の尹錫悦大統領は、米韓首脳会談に臨むにあたり歴代政権が推進していた「安全保障はアメリカに、経済は中国にそれぞれ依存する」という曖昧な「安米経中」外交を廃して、「安も経も米」に転舵することを表明した。とはいっても、国会では「嫌米日・親中北」が大勢を占めていることから転舵は容易ではないだろうし、腰砕けとなって「信用できない韓国のまま」となる危険性も腹蔵しておく必要があると思っている。

 オーストラリアと韓国の今後について書いたが、「安米経中」の気配が濃厚である日本で各政党の参院選公約が出始め、興味を以って眺めているが、世界的な軍事危機にあっても相も変わらず「経済・暮らし向き」公約が目白押しで、一部の世論も歓迎している感がある。
 いまこそ、「児孫のために美田を買わず」とした南洲翁、「米百俵」の小林虎三郎翁の気概・遺訓が生かされるべき秋と考えるのだが。