もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

櫻田五輪相の適格性関連質疑について

2018年11月25日 | 与党

 櫻田大臣の適格性について、国会で質疑が喧しい。確かに五輪相としての初歩的な質問の答弁に詰まったり野党委員の名前を言い間違えたりと、お世辞にも立て板に水の答弁とは言えない状況である。

 本日書きたいことは、桜田大臣がPCを扱えないことのみを以てサイバーセキュリティ担当大臣として致命的な欠格要素と断じることの不条理さである。実務者と実務者を統べる管理者とはおのずから異なり、管理者はサイバー犯罪の仕組みに通暁することよりも、犯罪が及ぼす被害や影響を把握・局限・抑止するための法整備や、人員・予算集中の方向性をデザインすることがより重要であると思う。優秀な狙撃手というだけで防衛大臣が務まるべくもなく、また防衛大臣が戦車の操縦に長けている必要もない。自衛隊OBの議員を除いて拳銃を撃った経験や兵器戦術について自衛隊員を凌駕する知識を持つ議員は極めて少ないと思うが、それでも軍事評論家や制服の知識を活用して1国の防衛を論じている。「生兵法は大怪我のもと」と古人は喝破しており、東京工業大学卒業で原子炉の知識は衆に抜きんでていると公言していた菅総理が、東電の津波対処に対して誤った指示をした結果、初動対処のための貴重な時間を浪費し、現場の混乱に拍車をかけたのは周知のことである。国会での論戦についても、野党議員は櫻田大臣のIT知識を問う質問を繰り返しているが、その議員にしてもサイバーセキュリティ専門家がIT用語を駆使してレクチャーした場合、果たして理解できるスキルを持っているのだろうか。議員会館のPCがウイルスに汚染されたのはつい先日の出来事である。高度に科学技術が進化した現代社会にあっては、ある分野に特化したスペシャリストを糾合してゼネラリストのチームリーダーが組織を統括することが一般的であり、FBIではハッカーを雇用してサイバーセキュリティーのチームを編成しているとも聞く。「ウチの社長は、このことが全く分かっていない」と嘆く社員は、そこらじゅうの居酒屋で気炎を上げているが、野党議員にも同じ匂いをかぎ取ることができると思う。

 最後に不審な点を一つ。櫻田大臣はサイバーセキュリティ担当大臣とされているが、首相官邸のホームページによれば、櫻田大臣は「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当」とされている。平成30年11月17日の総理演説も収録されていることから更新はアップデートに為されていると思うが、サイバーセキュリティ担当大臣は誰なのだろうか。


ゴーン氏・日産・フランスを学ぶ

2018年11月24日 | 欧州

 日産のトップであるカルロス・ゴーン氏が逮捕されて数日が経過した。

 逮捕容疑は、ゴーン氏と№2の所得隠し・日産社資産の私的流用の背任行為とされているが、フランスでは全く別の見方をしていることが相次いで報じられている。日産の経営母体とも称すべき提携先のルノー社の最大株主であるフランス政府がルノーに倍する日産の企業規模と販売実績を失いかねない事態と認識していることが原因で、ゴーン氏の擁護以上に氏の逮捕はルノー社による日産の吸収合併をを懸念する日本の謀略、とまで論調する向きもあるらしい。もともと社会主義色(社会民主主義)の強かったフランスでは他の西側国以上に国営企業が多いと認識していたので調べてみると、フランスはもとより他の国々でも考えていた以上に国営企業が多いことが判った。NHKと国立の大学・病院、一時的に政府の監督を受けている東京電力くらいしか思いつかない日本に比べて、エネルギー・交通・通信等の社会インフラ分野では各国が国有若しくは国営の機関を持ち、国民の生活基盤を支えている現実を知ることができた。NHKや国立大学を見ても、国は許認可権と財政支援によって穏やかな統制をするだけで経営に直接関与することは無く、株主として利益を還元させることもない。NHKにしても、聴取料の徴収を認めているだけで、放送内容が国の意見である必要もない。韓国を始め外国が日本の世論と政府見解を読み違える原因の一つが、NHKが国を代弁する国営放送と捉えていることにあるのかも知れない。フランスの例に戻れば、ルノー社を始めとする国営企業からは法人税の他、株主としての配当も歳入に組み込まれていると思うので、日産の離反によるルノーの不振は歳入減に直結する事態であり、国家がルノー社とゴーン氏擁護を主張するのは仕方のないところと思わざる獲ない。

 ゴーン氏の逮捕を契機として各国の国営企業の実情の一端を調べてみての所感であるが、諸外国の実情を見る限り、かって政府の規制と3公社5現業の存在が民需と競争力を削ぐと社会主義政党までも主張して、その殆んどを民営化した選択は正しかったのだろうかと考えてしまう。


ニコバル諸島でのアメリカ宣教師殺害に学ぶ

2018年11月23日 | アメリカ

 インド東部のアンダマン・ニコバル諸島の北センチネル島で、アメリカ人が殺害されたらしいことが報じられた。

 殺害したとされるのは北センチネル島に暮らすセンチネル族であるらしい。センチネル族とは現代文明に接触したことが無い唯一の部族とされ、推定人口は40人~400人、生活は旧石器時代そのままであり、性向は極めて好戦的・排他的とされている。インド・地元政府ともに住民尊重の立場から外部からの接触を禁止しているとしているが、彼等の言語(センチネル語?)すら島外では理解できないために、コミュニケーションすらとれないのが実状であるらしい。21世紀に至るまで異文明と接触したことが無い民族がいたことに驚いたが、センチネル族の存在はおろか北センチネル島の所在も知らなかったためにグーグルアースで調べてみた。北センチネル島はニコバル諸島で最大のスミス島の東100マイル位に位置することを知ったが、ニコバル諸島といえばマラッカ海峡防衛とインド・セイロン侵攻の足掛かりのために1942(昭和17)年3月から1945(昭和20)年の終戦まで日本が占領し、その間には陸海で幾多の激戦が繰り返されていたが、そのような歴史の大変動にあっても原始的生活を維持し得たことは孤島という地勢的な条件を考えても奇跡としか思えない。一方、殺害されたアメリカ人は27歳の宣教師とされており、キリスト教布教のために禁を犯して渡島したものとされている。いわば、現代のザビエルにも例えることができるかもしれないが、布教の過程で多くの文化を破壊した歴史と、キリスト教が人類安寧と救済のための必然性を持たない現実を考えれば、いかにも独善的で他人の領域に土足で踏み込んだという感じを持つものである。異文化を知らず、異文化に毒されず、絶海の孤島で暮すことと、物質文明に同化した挙句にアイデンティティを失うこと。彼等にとって果たしてどちらが幸福なのだろうかと考えさせられる出来事であった。

 ここ1週間の間に、ポートモレスビー・ニコバル諸島と立て続けに、日本帝国に因縁のある地名に遭遇した。センチネル族と帝国陸海軍の英霊に対し、頓首・合掌。

 


それみたことか韓国は

2018年11月22日 | 韓国

 徴用工判決に対する韓国政府の対応が明らかとなった。

 それは、日韓合意に基づいて設立された慰安婦財団の解散という禁じ手を切ってきたことである。10.31付けブログで「徴用工判決に対して懲罰的対応を」採るべきとしたが、実際に日本政府が採った対応は、在日韓国大使に対する遺憾・懸念の伝達とAPEC首脳会議において安倍総理が韓国大統領との接触を避けた程度で、ひたすら韓国政府の対応を見守るという具体策を表明し得ない消極姿勢に終始した。韓国の出方を報道等では”韓国政府は対応に苦慮しており、何らの具体策を見いだせない”という論調であったが、実際には韓国は日本の出方を見守っていただけに過ぎなかったことが明らかとなった。韓国社会や韓国人の気質は、韓国での反日デモ等の映像に見られるように条理よりも感情を優先するもので、相手より声が大きいことが正義と捉える傾向があると思う。であるからには、韓国に倍するシグナルを送ってちょうど釣り合いの取れるものと考える。韓国は、徴用工判決に対する日本の静観姿勢を、日本からは何もしてこない・何もできないと受け取ったものと考えれば、慰安婦財団の解散という暴挙に対しても政府は韓国大使に抗議することしかできないのかと”もどかしさを”通り越して怒りすら覚える。来春には韓国大卒者の日本企業への大量就職の気配が伝えられているが、彼等に対する就労ビザの発給停止や現在日本で働く韓国人の就労ビザの延長を認めないなど、具体的な対抗策で韓国世論にシグナル送ることが急務ではないだろうか。一般国民や一部団体の反日活動ではなく、韓国政府が国家間合意の破棄(無視)と反日を鮮明にした慰安婦財団の解散に対して、日本政府も同等の対抗策を見せる必要がある。日本政府の抗議を受けた在日韓国大使は「日韓合意は破棄せず、再交渉も要求しない」と述べたと報道されているが、新たな反日カードを準備するための単なる時間稼ぎで、幾度となく繰り返された二枚舌外交の再現とみるべきではないだろうか。

 今、韓国市場と韓国経済での地歩を失う事態になった場合は、日本も少なからぬ痛手を被るものと思うが、「臥薪嘗胆」の気概を以て韓国に強硬姿勢・貯罰的対応を執ることが必要であると思う。声を大にして言いたい『韓国は友邦たり得ない』『韓国を捨てよう』と。


新防衛計画に学ぶ

2018年11月21日 | 防衛

 政府が年末に閣議決定を目指している、次期防衛計画の概要案が提示された。

 概要案では、日本を取り巻く安全保障環境の急激な変化(悪化)に対応するための、予算・人員の重点指向が示されている。正面兵力では東京五輪をも視野に入れたサイバー対処、電子戦能力の拡充、宇宙の監視・危険排除手段(総合ミサイル防空能力)の整備を図るとともに、従来脆弱であった後方能力のうち「離島(南西諸島)に対する機動展開能力」を優先事項としている。特に、機動展開能力は帝国海軍以来整備を怠った分野であり、現在の「おおすみ型」輸送艦にあっても、展開能力については劣っていると云わざるを得ない。アメリカ海軍の強襲揚陸艦は最大速力は22ノットと「おおすみ型」と同じであるが、強大な空母の支援下に行動するとともに自身の持つ防空兵器と航空機で相当な個艦戦闘能力を持っている。一方「おおすみ型」は防空兵器を持たないために、個艦戦闘能力は皆無に等しく護衛部隊の庇護なしには戦闘海域では行動できないという弱点を持っている。まさしく、陸軍部隊の輸送を徴発した商船に依存し、護衛部隊に軽巡以下の兵力しか充当できなかったとともに、船団の速力を輸送船のうち最も低速の船に合わせなければならなかったために避退行動もままならず潜水艦によって撃沈されるという事態を招いた日本帝国軍の轍を踏む危険性を有する兵力整備である。せめて護衛部隊と同一行動がとれる速力は付与すべきであったと思う。話変わって、産経新聞の解説記事中「ゲーム・チェンジャーとなり得る最先端技術の重点的に投資する」とあった。ゲーム・チェンジャー?。ことバンクには《同じような目的を持った製品群の中に現れ、新しい視点や先見性を持ち、これまで当たり前だった状況を覆してしまう可能性を持った存在のことを指す。またそのコミュニティや、それに関わる個人に新しい価値観をもたらし、それ自体が次世代の基準となりえるようなもの。多くの場合それはオリジナルのものであり、他のものより抜出て優秀なアイデアを持っている。》と書かれていた。スポーツやゲームの世界ではこれまでも一般的に使用されていたものとも付記されており、不明を恥じるとともにゲーム・チェンジャーとは、広島カープの”メヒヤ”や”バティスタ”のように、一発で敵の意図や野望を粉砕できる存在を指すのかと納得した。

 カタカナ語の嫌いな(英語に弱いことが最大の原因であるが)自分としてゲーム・チェンジャーの和訳を試みた。一発逆転兵器?、起死回生兵器????。いずれも大東亜戦争末期の特攻兵器を想起させるもので、かつ、実体を正確には表現できていないと思う。センスある方の翻訳・意訳をお願いするものである。