Q 聴覚障害者に配慮した避難所運営は?
A 放送以外に文字でも情報発信を
東日本大震災聴覚障害者救援中央本部で情報・広報担当を務める全日本ろうあ連盟(本部・東京都新宿区)の河原雅浩理事(50)に話を聞きました。
聴覚障害は見た目では分かりにくい障害です。被災地の多くの聴覚障害者は、必要な情報が得られないうえ、自分が困っていることをなかなか伝えられず、支援の手が届きにくくなっています。
避難所に手話ができる人がほとんどいないため、悩みを打ち明ける相手がおらず、孤独にも陥りがちです。この4月、中央本部から宮城県に医療メンタルケアチームを派遣し、聞き取り調査をしたところ、やはり心のケアを必要としている方がたくさんいることが分かりました。
食料や水の配給などについて放送で伝えるときは、個別に紙に書いたり、掲示を見せるなどして、必ず聴覚障害者にも伝わるようにしてください。障害の程度はいろいろです。大きな声でゆっくり話せば分かる場合もあるし、筆談でもある程度のやりとりができます。
一番大切なのは、聞こえない人とコミュニケーションしたいという気持ちです。手話が使えなくても、ぜひ身ぶりや手ぶり、文字などを使って伝えてください。自分から話しかけるのをあきらめてしまった被災者の方にも、気持ちはきっと伝わり、会話が始まるでしょう。
毎日新聞 2011年5月12日 東京朝刊