発見者に通報義務づけ
家庭、施設、職場で予防・早期発見 尊厳守る画期的な一歩
党障がい者福祉委員長 高木美智代 衆院議員
.問い ねじれ国会の中、議員立法の「障害者虐待防止法」が全会一致で可決・成立したと聞きました。公明党もマニフェスト(政策綱領)に掲げて推進してきたようですが、その内容と取り組みを教えてください。
高木美智代衆院議員 「熱湯のコーヒーを施設長に無理やり飲まされた」「施設職員に性的暴行を受け、妊娠させられた」「食堂で無給で働かされ障害者年金も横領された」―。ほかにも日常的な暴力、暴言、身体拘束など、障がい者への虐待が表に出るのは“氷山の一角”です。
公明党は人権尊重の党。これまで「児童」「高齢者」の虐待防止法や、「配偶者」からの暴力を防止するDV防止法の制定を実現してきましたが、「障害者」への虐待は、より深刻です。それは、障がい者が自らの被害を「いつ誰に、どこで何をされた」と明確に答えられない場合が多く、仮に親族が虐待に気付いても、世話になっている雇用主や施設の人には強く抗議もできず、大半が泣き寝入りしてしまうためです。
そこで、今回成立した法律には「何人も、障害者に対し、虐待をしてはならない」と明記。虐待に気付いた国民すべてに市町村への通報義務を課しています。関係者からは、障がい者の尊厳を守る画期的な一歩と、たいへん喜ばれています。
法律では、虐待を▽身体的虐待▽性的虐待▽心理的虐待▽放置▽経済的虐待―の5つに分類。障がい者の自立と社会参加を促すため、「障害者虐待」を家庭内に限らず、福祉施設の職員や職場の上司による虐待も指すと定義し、予防と早期発見の取り組みを国や自治体、国民に求めるとともに養護者への支援措置も講じることを定めています。
市町村は、家庭への立ち入り調査や一時保護ができます。ただ、施設や職場での虐待は市町村も対応しづらいため、虐待の現場が「施設」の場合は都道府県が、「職場」の場合は都道府県労働局が指導するよう定めました。
施行は、来年10月です。虐待対応の窓口として、市町村に「障害者虐待防止センター」、都道府県に「障害者権利擁護センター」の設置を義務付けましたが、施行までに、窓口となる市町村での“受け皿”づくりや、都道府県との連携をどう進めていくかが重要になると思います。
この法律は、超党派の議員立法で今国会でようやく成立しましたが、もともとは2008年、公明党独自で関係団体や専門家など20回を超えるヒアリングをもとに練り上げた公明党案(骨子)をベースとして、翌09年7月に自民・公明両党で国会に提出したものと、ほぼ同じものです。かつて「議員立法はしない」と言っていた民主党に「一日も早く!」と説得し、成立にこぎ着けることができました。今後も現場の声をもとに、より実効性のあるものになるよう取り組んでいきます。
公明新聞
家庭、施設、職場で予防・早期発見 尊厳守る画期的な一歩
党障がい者福祉委員長 高木美智代 衆院議員
.問い ねじれ国会の中、議員立法の「障害者虐待防止法」が全会一致で可決・成立したと聞きました。公明党もマニフェスト(政策綱領)に掲げて推進してきたようですが、その内容と取り組みを教えてください。
高木美智代衆院議員 「熱湯のコーヒーを施設長に無理やり飲まされた」「施設職員に性的暴行を受け、妊娠させられた」「食堂で無給で働かされ障害者年金も横領された」―。ほかにも日常的な暴力、暴言、身体拘束など、障がい者への虐待が表に出るのは“氷山の一角”です。
公明党は人権尊重の党。これまで「児童」「高齢者」の虐待防止法や、「配偶者」からの暴力を防止するDV防止法の制定を実現してきましたが、「障害者」への虐待は、より深刻です。それは、障がい者が自らの被害を「いつ誰に、どこで何をされた」と明確に答えられない場合が多く、仮に親族が虐待に気付いても、世話になっている雇用主や施設の人には強く抗議もできず、大半が泣き寝入りしてしまうためです。
そこで、今回成立した法律には「何人も、障害者に対し、虐待をしてはならない」と明記。虐待に気付いた国民すべてに市町村への通報義務を課しています。関係者からは、障がい者の尊厳を守る画期的な一歩と、たいへん喜ばれています。
法律では、虐待を▽身体的虐待▽性的虐待▽心理的虐待▽放置▽経済的虐待―の5つに分類。障がい者の自立と社会参加を促すため、「障害者虐待」を家庭内に限らず、福祉施設の職員や職場の上司による虐待も指すと定義し、予防と早期発見の取り組みを国や自治体、国民に求めるとともに養護者への支援措置も講じることを定めています。
市町村は、家庭への立ち入り調査や一時保護ができます。ただ、施設や職場での虐待は市町村も対応しづらいため、虐待の現場が「施設」の場合は都道府県が、「職場」の場合は都道府県労働局が指導するよう定めました。
施行は、来年10月です。虐待対応の窓口として、市町村に「障害者虐待防止センター」、都道府県に「障害者権利擁護センター」の設置を義務付けましたが、施行までに、窓口となる市町村での“受け皿”づくりや、都道府県との連携をどう進めていくかが重要になると思います。
この法律は、超党派の議員立法で今国会でようやく成立しましたが、もともとは2008年、公明党独自で関係団体や専門家など20回を超えるヒアリングをもとに練り上げた公明党案(骨子)をベースとして、翌09年7月に自民・公明両党で国会に提出したものと、ほぼ同じものです。かつて「議員立法はしない」と言っていた民主党に「一日も早く!」と説得し、成立にこぎ着けることができました。今後も現場の声をもとに、より実効性のあるものになるよう取り組んでいきます。
公明新聞