◆要支援者など一目瞭然
要支援者の家は赤、支援者の家は青、避難所は緑で、消火栓は黄色――。災害時に住民同士で速やかな安否確認や避難ができるよう、地図上に必要な情報を書き込んだ「災害時支え合いマップ」がこのほど、富士河口湖町の西湖地区の住民らによって作成された。県警によると、同様のマップの作成は県内で初めて。昨年11月の長野県北部地震の時、事前に作られたマップが役に立ったといい、西湖地区の住民は「自分たちの身は自分たちで守る」と話している。
富士河口湖町によると、西湖地区には計約210世帯、約590人が暮らし、山々や青木ヶ原樹海に囲まれている。1966年、台風による豪雨で地区を流れる三沢川で土石流が発生し、住民31人が死亡する災害があった。
マップ作成は今年3月、富士吉田署からの提案を受けて始めた。民生委員らは地区内に住む身体障害者や一人暮らしの75歳以上の高齢者など要支援者31人を1人ずつ訪問し、災害時に助けに来てもらう家族や親戚、友人といった支援者を話し合って決め、マップに記入した。支援者の家から要支援者の家に矢印を伸ばし、要支援者を誰が助けるのかを一目瞭然とし、キャンプ場や公民館といった避難所は緑、重機やバスといった災害時に役立つ車両のある家は紫など、場所の種類ごとに色分けし、分かりやすくした。
昨年、長野県北部で最大震度6弱を観測し、多くの家屋が倒壊した同県白馬村では、村内にある30地区のうち14地区でマップを作成しており、あらかじめ決めておいた支援者が地震発生直後から要支援者を訪問するなどし、安否確認が素早くできたという。
同村によると、年に1度マップ作りの講習会が開かれており、担当者は「マップを作ったり、更新したりすることで、住民の間に災害に備える意識が高まっている」と話す。
西湖地区の三浦悟区長(66)は「災害への危機感があり、住民同士が顔見知りの西湖だからこそ、このようなマップを作ることができた。災害時にはマップを活用して住民同士で力を合わせたい」と話している。
「災害時支え合いマップ」を手にする三浦区長