関西学院大経済学部の学生ら14人が6日、大阪府池田市の障害者支援施設「三恵園」と「こすもす」を訪ね、利用者や職員と交流した。産経新聞社が同大学で行っている授業の一環で、約2時間にわたって現場の課題などを学んだ。
両施設とも産経新聞厚生文化事業団が運営しており、入所施設の三恵園では知的障害のある約30人が暮らしている。こすもすは通所施設で、約20人がグループホームや自宅から通っている。
学生らは2班に分かれ、1人部屋になっている三恵園の居室や陶芸作業所、こすもすの作業室などを回り、部品の組み立てや陶芸、貼り絵の活動などを見学した。
さらに、近くの住宅街の民家を借りて今秋オープンしたばかりのグループホームも視察。4人の利用者の日常の暮らしや、ホーム開設には地域の人々の理解が不可欠であることなどの説明を受けた。施設はあくまでも「通過施設」であって、地域社会での自立が支援の最終目標であることなども学んだ。
スタッフは「職員本位に物事を片づけていないか、常に注意している。利用者への理解を深めてもらうために、地域の人々との交流を大切にしている。目の前の支援にとどまらず、私たちの活動が地域振興にもつながるような広い視野で考えている」と説明した。
学生の1人は「福祉現場に暗いイメージを持っていたが、まったく違った。利用者も職員も明るい笑顔で、楽しそうだった。会話のできにくい利用者との意思疎通をはかるためにさまざまな工夫がなされており、ものすごく学究的だと感じた。『いいところを見つける支援を心掛けている』という話は、社会人になってからも大切な視点だと思った」と話した。
陶芸作業所を見学する関学大の学生ら。作品の皿や生け花の剣山はイベントなどで即売している=11月6日、大阪府池田市の「三恵園」
2015.11.9 産経ニュース