県、来年2種類導入 健常者の使用抑止
県は、障害者や高齢者らのために商業施設や公共施設で特別に設けられている優先駐車区画(障害者区画)の利用対象者に、車に取り付けて利用資格があることを明示する「利用証」の交付を12月1日に始める。制度のスタートは来年1月25日から。これまで障害者区画に健常者が車を止め、苦情が寄せられることが多かったため、利用証の導入でこうした混乱を抑止したい考えだ。(大森篤志)
障害者が暮らしやすい社会を目指すバリアフリー新法は、一定規模以上の大きさの施設の駐車場では、障害者らが乗り降りしやすいよう、幅を広く確保した「車いす使用者用駐車区画」の設置を義務づけている。さらに県は福祉のまちづくり条例で独自に、一定規模以上の施設について、障害者と高齢者が優先的に利用できる「ゆずりあい駐車区画」の設置を求めている。
県内では1000施設程度がこうした優先駐車区画を設けているとみられ、利用証はこの二つの優先区画に車をとめる際、ルームミラーにひっかけてフロントガラス越しに外から見えるようにする。
県は、障害者、要介護の高齢者、難病患者など移動に困難が伴う人を対象に5年間の有効期限を設定したタイプと、妊産婦とけが人を対象に有効期限1年のタイプの2種類を用意する。
現在、車いす区画とゆずりあい区画について、車いすのマークを記したり、地面を青く塗ったりして一般駐車場と区別。利用証の導入に合わせ、今後は隅っこにコーンも置いて、より分かりやすくする。ただ、現在の法に基づく車いす区画について、資格外者が利用しても罰則を科せることはできず、あくまでも車利用者の良識に委ねられているのが実情だ。利用証についても施設管理者が証の有り無しで駐車を拒絶できるほどの強制力はもたせられない。
県障害福祉課は「究極的にはモラルの問題といえるが、利用証を掲げることでみなさんが、より気持ちよく、また明快に駐車場を利用していただければ」としている。
利用証の希望者は、身体障害者手帳、療育手帳や母子健康手帳などの証明書類を持参し、県障害福祉課や各振興局に申し込む。申請書は同課のホームページからダウンロードできるほか、窓口にもある。申請は郵送でも受け付けている。問い合わせは同課(073・441・2532)へ。
2015年11月26日 Copyright © The Yomiuri Shimbun