県は26日、同日開会の11月定例県議会に「県福祉のまちづくり条例」の一部改正案を提出した。駐車場の障害者用区画を必要とする障害者が駐車しやすくするため、県が利用証を交付する「信州パーキング・パーミット(駐車許可)制度」の導入が柱の一つ。県は、同制度をすでに施行している32府県と協定を結ぶことで広域的な相互利用への道を開き、障害のある人たちに優しい環境づくりを進めていく方針。
◆マナー違反に対応
車椅子のマークが描かれた障害者用駐車場は、公共機関や一定規模以上の商業施設などの出入り口付近に1区画あたり幅3・5メートル以上を確保して設置するよう、バリアフリー法で義務付けられている。ところが利用者に関する基準が不明確なことから、健常者が堂々と障害者用駐車場に車を止めるなどのマナー違反が後を絶たず、障害者が使いたいときに使えない状況が生じている。
そこで県は、パーキング・パーミット制度を導入し、障害者や要介護の高齢者、難病患者、妊産婦、けがなどで歩行が困難だったり介助者の注意が必要だったりする人を対象に駐車場の利用証を交付して使用基準を明確化することにした。交付を受けた人は、障害者用駐車区画に車を止める際、利用証を外から見えるように車内に掲示し真正な利用者であることをはっきりと分かるようにする。
同制度は欧米などで1980年代から広がったが、国内では佐賀県が平成18年に初導入したのをきっかけに急速に普及している。
◆プラスワン区画も
県はまた、これまでに設置されている障害者用駐車場に加え、一般的な駐車場区画と同じ幅の2・5メートルを標準とするプラスワン区画の確保を、各施設に要請する。3・5メートル幅以上の駐車場は、車椅子の利用者がドアを大きく開けてスムーズに乗降するのに必要なスペースを確保した区画だが、車椅子を利用しない障害者や妊産婦などの利用対象者が使える区画を新設し、利便性の一層の確保を図る。
来年4月下旬からの制度のスタートに向け、県は年明けから各施設を運営する事業者や市町村などを対象に説明会を開催。2月下旬には利用対象者から利用証の交付申請を受け付け、協力施設の登録を始める。初年度の目標として800施設の登録を目指し、5年間で3万6千人の利用を想定している。
このほか条例改正案では、バリアフリー法で規定する建築物の移動円滑化基準について県独自の整備基準を追加する。
同法は、不特定多数の人や主に高齢者・障害者らが利用する特別特定建築物で延べ床面積が2千平方メートル以上の施設にエレベーターなどの移動円滑化基準を義務付けるが、条例改正で特別支援学校や病院・診療所、官公署、福祉施設など公共性や障害者らの利用度が高い施設を対象に基準適合義務が生じる対象面積を1千平方メートル以上に引き下げる。
さらに施設の規模によってトイレにベビーチェアやベビーベッド、大人用の介護ベッドを設置するなどの基準を新たに追加する。
2015.11.27 産経ニュース
エコ計画(さいたま市桜区)とジェイコムハート(東京都千代田区)は26日、障害者雇用を促進する施策で提携し、エコ計画の新リサイクル工場「Eスペース」でジェイコムハートの従業員(障害者)が業務を開始したと発表した。
エコ計画は障害者雇用を促進するため、10月に埼玉県の「彩の国資源循環工場」にある総合リサイクル施設「寄居エコスペース」隣接地に、新工場を竣工。
両社はエコ計画がジェイコムグループの産業廃棄物処理、リユース・リサイクル業務を担ったのを機に、協力して障害者雇用を推進していくことで合意、ジェイムコハートの従業員が新工場で電子機器分解などの業務に従事することになったという。
ジェイコムハートの従業員22人は、主にジェイコムから回収した使用済みの電子機器を、手作業でネジの一本まで細かく素材ごとに分別する。エコ計画では「手作業で行うことで、機械の処理に比べてより徹底した、質の高い貴金属などの素材リサイクルが可能になる」と見込んでいる。
Eスペースは、工場棟と倉庫で構成する有価物を対象としたリサイクル施設で、障害者が働く工場棟は、施設全体をバリアフリー化し、休憩室・障害者専用トイレを完備している。
鉄筋コンクリート平屋建て、460坪の倉庫棟は営業倉庫に登録済みで、商品回収センターとして利用できる。