福岡県田川市は、来年度から市全域で取り組む買い物支援事業に参加する店を募集している。配達や出張サービスをする店を市民に紹介する事業で、車を運転できない高齢者や障害者を手助けし、店側の販路拡大につなげる狙いだ。高齢化が深刻化する中、嘉麻市なども買い者弱者の支援を検討している。ただ、参加業者数や配達地域が限られる可能性もあり、対策の難しさがのぞく。
田川市の事業は、全ての市民と市内の店、事業所が対象。食品や衣類、日用品を配達▽買い物の代行、掃除、電球の交換、電化製品の修理▽店内を休憩所や待合所として利用▽購入した品を買い物客の自家用車やタクシーまで運搬-などのサービスを行う店を募る。
サービス内容を審査して登録店に認定。登録店一覧を冊子にして市内の全戸に配る。一覧表には、店名や電話番号のほか、取扱品、配達区域、営業時間、宅配・出張料などを記載しており、サービスの利用については、利用者と店が直接交渉する。登録店には、高齢者宅訪問時に異変を感じた場合、市に通報する見守り活動にも協力してもらう。今回は100店舗を目標に12月15日まで募集。冊子は毎年度、更新する予定だ。
市によると、今月1日現在の市内の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は31・1%で、10年後には34・2%まで上がると見込む。約1万5千人の高齢者の6割以上が高齢者だけで生活している。市健康福祉課は「買い物が困難な市民の生活を支援し、商業振興も図りたい」とする。
交通機関が少ない嘉麻市は来年度の支援開始を目指し、市内のスーパーなどがどんな配達サービスに取り組んでいるかを調査中。商品配達を担う企業や団体を探して補助金を出すのも一つの案だが、担当者は「採算が見通せない。継続的に取り組んでくれるかも分からない」と漏らす。
嘉麻市では商店主らの「かまししスタンプ会」が昨年4月から月1回、買い物支援バスツアーを開催。飯塚市の住民組織「鯰田地区まちづくり協議会」も8~12月の第1、3土曜に買い物支援の無料ワゴン車を試験運行している。しかし、採算面などから運行回数は限られ、日常的な“足”となっていないのが実態だ。
筑豊の各市は市中心部と周辺を結ぶコミュニティーバスや、民間廃止路線の代替バスを走らせているが、路線や便数を増やすことには費用対効果から慎重だ。宮若市の担当者は「買い物支援は課題だが具体的な話は出ていない」とした。

飯塚市の鯰田地区で試験運行されている買い物支援のワゴン車
=2015/11/26付 西日本新聞朝刊=