リオデジャネイロ・パラリンピックの選考会を兼ねた「第27回日本パラ陸上競技選手権大会」が30日、鳥取市のコカ・コーラウエストスポーツパークで始まった。日ごろの成果を発揮しようと競技に臨む選手の姿に、約3000人の観客から大きな声援が送られた。県勢では米子市の森卓也選手(41)が砲丸投げで自身の日本記録を更新。1日まで障害の部位や程度でクラス分けされた選手約200人が、14種目で熱戦を展開する。
森選手は1回目の投てきで早々に記録を更新。さらに6回目の最後の投てきで8メートル34まで伸ばした。「地元の大会で新記録を出せて本当に良かった」と喜んでいた。
走り高跳びの前島博之選手(27)=鳥取市=は「高さは跳べていたが、踏み切り位置が安定しなかった。でも、障害があっても跳べるところを全国の人に見てもらえた」と振り返った。100メートルに出場した中村開知選手(19)=同=は「記録に納得していないが、一歩前進できた」。車椅子1500メートルなどに出場した野田昭和(あきかず)選手(34)=同=は「障害者スポーツを子供にやらせてみたい」と観客に話しかけられたといい、「大会が競技の底上げにつながればうれしい」と話していた。
スタンドの観客も選手の懸命な姿を見守った。鳥取市の湊飛鳥さん(26)は「(パラ陸上は)初めて見たが、すごい選手が多かった」と驚いた様子だった。
この日は大会に招待された県内の特別支援学校6校の4×100メートルリレーも。参加した鳥取聾(ろう)学校高等部3年の新井ほのかさん(17)は「みんなと楽しく走ることができた」と喜んだ。また、会場周辺には競技用車椅子の試乗コーナーなども設けられた。鳥取市の高田美絵さん(41)は、陸上クラブに通う息子の洸洋(こうよう)さん(10)と来場。「息子は自分の脚で走れるが、それが当たり前のことではないということを考えてほしくて来た。盛り上がっていて良い大会ですね」と笑顔を見せた。
毎日新聞 2016年5月1日