【認定訓練制度を推進】
厚生労働省は、2016-20年度の5年間を計画期間とする「第10次職業能力開発基本計画」を4月28日に策定した。生産性向上に向けた人材育成強化、女性・若者・中高年齢者・障害者など個々の特性やニーズに応じた職業能力底上げなどを柱に、6項目を基本的施策として掲げた。また、10次計画を「生産性向上に向けた人材育成戦略」に位置付けて、職業能力開発施策を展開する。
基本計画によると、幅広い産業で人材不足感があり、 特に建設業などでの人材確保が課題になっていると指摘。職業能力の開発、向上を必要とする者に対し、 機会を的確に提供することが重要とした。
その上で、施策の柱として、(1)生産性向上に向けた人材育成の強化(2)「全員参加の社会の実現加速」に向けた女性・若者・中高年齢者・障害者などの個々の特性やニーズに応じた職業能力底上げの推進(3)産業界のニーズや地域の創意工夫を生かした人材育成の推進(4)人材の最適配置を実現するための労働市場インフラの戦略的展開(5)技能の振興(6)職業能力開発分野の国際連携・強力の推進--の6項目を掲げた。
生産性向上に向けた人材育成強化では、IT人材層を分厚くする取り組みの強化・加速化が重要とし、IoT(モノのインターネット)などの技術進歩に対応したスキルが求められることから、専門実践教育訓練給付制度などでのIT分野講座の拡充、IT業界と企業が連携した雇用型訓練を進める。
また、企業や業界での人材育成強化が、労働者の実践的職業能力開発には重要だとした。中でも、建設業を始めとした人材不足産業は、若者の担い手確保の観点から、訓練に取り組む企業への支援を拡充することを通じて、民間の活力を生かした認定職業訓練制度の活用を推し進めることを打ち出した。
女性・若者・中高年齢者・障害者などの職業能力底上げは、▽子育て中の女性の再就職に向け、公的職業訓練で育児と両立しやすい短時間訓練コースの設定と、訓練受講時の託児支援サービスの提供▽学生・生徒への職場体験の支援や「ものづくりマイスター」による実技指導▽中高年向け雇用型訓練を行う企業への支援--などを掲げた。
このほか、建設業など人材不足分野での公共職業訓練コースの設定、若者のものづくり分野への積極的な誘導などの取り組みを進める。企業には積極的な人材育成投資を求めている。
基本計画は、職業能力開発促進法に基づき、職業訓練や職業能力開発の基本方針を厚労相が策定する計画。この基本計画に基づき、都道府県は都道府県職業能力開発計画を定めていくことになる。
第77回 『ジャーナリスティックなやさしい未来』
引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆癒やされたメディアは何?
「癒やされたメディアは何ですか?」。私が施設長を務める精神疾患者向けの就労移行支援事業所シャローム所沢での講座で、利用者にそんな質問を投げかけてみると、返ってきた答えは、音楽と映画が大半であった。例えば米国映画「グッド・ウィル・ハンティング」だったり、痛快なミュージカルコメディーの米国映画「ブルースブラザーズ」。音楽ならば中島みゆきの「時代」など。
その作品化した「メディア」の数々は、決してテレビ番組ではなく、作り手が精魂こめて練り上げた熟成されたものばかりであった。精神疾患者が癒やされるのは、簡単な作り込みで済ませてしまうメディアではない。何かを訴え、強い感情を伝えようという意思が積み上げられた作品こそが、人の心を揺さぶる、という視点は間違っていないように思う。
これが、私が考える「ケアメディア」なるものの基本概念にもなる。つまりは、簡単に作れてしまうものは、効率性や生産性を優先してしまい、受け手のことなど考えはしない。結果的に「人間」から離れた殺伐とした欲求優先のメディアになってしまう。受け手の顔と心を想像し、同時に広く人間社会をとらえて、コンテンツを作る作業が「ケアメディア」の条件となる。それはもちろん、心が必要な作業である。
◆必要な「見る気力」
先日、突然実父が急性膵炎(すいえん)で入院した。栄養を点滴で補給する絶食生活の中で、傍らにあるテレビに見向きもしなかった。「見る気力がない」という。数年前入院をした母も同じことを言っていた。そして、シャローム所沢の利用者も心の状態が悪い時には「テレビは見ない」という多くの声を聞いた。この発言が大多数の声ならば、テレビは体や心の状態が悪く、本当に癒やされるべき人の役に立っていないことになる。
つまり、心が元気、もしくは気力がある状態の中で「見られる」ものであり、テレビの画面で「癒やし」を叫んでも、ほんの少しへこんだ人を癒やせているだけなのが実態かもしれない。
私自身、「ケアメディア」の言葉をめぐり、現在その考えの源流をたどる知的冒険をしている最中であるが、表面上の行動として、3月に歌というメディアで全国リリースしたCD「明日へ」(CW、春と夏~ウサギとカメ)が歌手の奈月れいさんの活発な行動により、ライブ活動やラジオでその歌声が広まっている。
これが前述の熟成されたメディアであれば、その意味づけは受け手がとらえてくれるだろうが、結果は未知数。作り手の私としては、精神疾患者とのかかわりの中で、そこに届く言葉、もしくはメッセージとして最適で熟成した言葉を選んだつもりだが、絶対的に当事者ではない私が想像する受け手発想の中で、届くかどうかは、まだ分からない。分かり合えないからこそ、苦悶の中で想像し発信するプロセスが、その質によって言霊(ことだま)というメッセージに磨きがかかってくるのであろう。
◆冊子で普及
また「ケアメディア」では、小さな情報冊子を編集中である。7月1日発刊を目指すタイトルはそのまま『ケアメディア』で、キャッチフレーズは「人の心に向き合う情報誌」。向き合えば、元気な心よりも痛んだ心を優先してしまうから、自ずと精神疾患者向けの内容が多くなってくる。しかし、それが疾患者の自覚のあるなしにかかわらず、誰にでもつながる内容を、と作業している。
創刊号は脳科学者であり、小児科医師であり、教育学の博士でもある、文教大の成田奈緒子教授と対談し、脳と疾患、支援、メディアの関係を考えてみた。さらに知的障害者の学校を愛知県で設立した愛知県立大学の田中良三名誉教授へのインタビュー、精神疾患者による「映画鑑賞記」、「やさしい暮らし」の提言などの内容。まだまだ手さぐりの中での作業だが、やはりコミュニティー形成にはメディアは強い。心を中心にしたコミュニティー形成、そんな希望が目の前には開けている。
河野太郎防災担当相は6日午前、政府の熊本地震に関する非常災害対策本部会議で、ホテルや旅館の活用を促進するなど被災者の避難環境の改善を改めて指示した。
河野氏は「梅雨入りも迫っているので、高齢者を中心に体調を崩さないようにいかに(避難生活の)環境改善をしていくかが大事なことだ」と指摘。その上で「2次避難所のホテルや旅館の情報が被災者一人一人に届いていない」として、被災市町村と連携し情報発信を強化するよう求めた。
産経新聞 5月6日
熊本地震の後、活動を自粛していた熊本県のPRキャラクター「くまモン」が、5日、被災地の子ども達のために帰ってくることが分かりました。
熊本県が世界に誇るゆるキャラで、PRキャラクターでもある「くまモン」は、先月14日に震度7の地震が起きて以降、表立った活動はもちろん、インターネット上の公式ツイッターなどを含めたあらゆる情報発信を自粛してきました。人命救助と県民の生活再建を優先したいとする熊本県の方針があったものとみられます。
ただ、「くまモン」の安否を気遣う声が国内のみならず、海外からも寄せられ、地元経済の再建のため早期に活動を再開してほしいと、復帰を待ち望む声が多数出ていました。
こうした要望を受けて、「くまモン」は最初の地震発生から3週間となる「こどもの日」の5日、活動を再開させるということです。5日は県内各地の避難所を訪れて子どもたちを励ます予定で、その後は高齢者や障害者との触れ合いなど活動を広げていく方針です。
TBS 5月5日