ゴエモンのつぶやき

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若年性認知症 妻の介護と仕事両立、20年の軌跡出版

2016年05月16日 01時50分28秒 | 障害者の自立

 若年性認知症の妻の介護を続ける京都市南区の会社員、富田秀信さん(65)が「千代野(ちよの)ノート 仕事と介護20年」を出版した。妻の介護と仕事を両立しつつ、多彩な市民運動を続けてきた20年の軌跡を描いている。

 妻千代野さん(69)は1996年4月、心臓発作で倒れた。脳へのダメージで、記憶や言語に障害が残った。当時は介護保険制度(2000年4月施行)の導入前。若年性認知症の人を救済する施策がなかった。おおむね65歳以上を対象とする高齢者福祉政策からは「お宅の奥さんは若すぎる」との一言ではねつけられた。しかも3人の子どもは専門学校、高校、中学に通学し、教育費がかかる年代。富田さんに離職の選択肢はなかった。

 「施策もなく、特別の経済力もなく、大家族でもない。どうやって生きていくか。『人の力』に頼るしかなかった」

 格好をつけず、正直にSOSを出した。友人、知人はもちろん、初対面の近所の人にも声をかけ、千代野さんを預かってくれる人を探した。

 介護保険制度の導入後は、ヘルパーを頼み、デイサービスにも通えるようになった。だが、千代野さんの要介護度は最も重い5。富田さんは勤務する神戸市の旅行会社にも協力を呼びかけた。午後3時には仕事を切り上げ、5時に帰宅。デイサービスから戻ってくる千代野さんを迎える。

 苦労話も率直につづっている。千代野さんが倒れて入院した時、富田さんはキャッシュカードや預金通帳の場所が分からず困った。JR大阪駅では、富田さんがトイレに行っている間に、千代野さんが一人で電車に乗り、滋賀県長浜市まで行ってしまった。夫妻で駅のホームで一夜を明かしたことも。

 注目されるのは、富田さんが千代野さんの介護をしつつ、障害者福祉、環境、文化、平和など様々なテーマの市民運動を続けてきたことだ。しかも沖縄、米国、ベトナムなど国内外の市民運動の場に千代野さんを連れて行った。

 富田さんは「積極的に外に出て様々な人と出会うことが妻にも私にも刺激になっている」。千代野さんは多くの記憶を失ったが、人に会うことがきっかけになり、朗読したり、歌を歌ったり。保育士をしていた頃の力を発揮するようになった。富田さんも介護の体験を仕事に生かしている。福祉や介護、医療関係者と人脈を築いて旅行を受注したり、介護のシンポジウムで講師を務めたり、ホテルや旅館に家族が一緒に入れる風呂場づくりを提案したりした。

 「多くの人が介護に関わる今、介護と仕事が両立できるように、私たちの体験が生きればうれしい」と富田さんは話している。

 今回の本は富田さんがNPO法人「福祉広場」(北区)のホームページへの連載や新聞への投稿などをまとめた。

 ウインかもがわ刊、440ページ。税込み2376円。問い合わせは、かもがわ出版(075・432・2868)へ。

写真・図版

「千代野ノート」を著した富田秀信さん(左)と妻千代野さん

2016年5月15日  朝日新聞デジタル


「お隣」支援息長く [福岡県]

2016年05月16日 01時45分14秒 | 障害者の自立

 熊本地震は14日で発生から1カ月。熊本県に隣接する筑後地区では、自治体や医療機関などによる現地支援が今も続くほか、被災地からの避難者受け入れも進んでいる。一方、最大で震度5強を観測して文化財などに被害が出た。本格的な修復はこれからだ。

■医者の街・久留米本領 新生児・妊婦の命救う

 医者の街・久留米では、医療面でも息の長い支援が続いている。

 2度の地震により、周産期医療の中核を担う熊本市民病院が損壊。院内の総合周産期母子医療センターが使用できなくなり、早産などリスクの高い妊産婦や重病の新生児の県外搬送が必要となった。

 久留米市では同センターを備えた久留米大学病院と聖マリア病院が連携。本震が起きた16日未明から連絡を取り合い、聖マリア病院の救急車に2病院の医師が同乗して出発し、新生児2人を久留米に搬送。1人ずつ受け入れた。

 聖マリア病院にはその後も新生児4人、妊産婦7人が運ばれた。同病院の久野正センター長は「人工呼吸器での管理が必要な新生児もいて、長距離の搬送に神経を使った」と振り返る。

 いずれも経過は問題なく、妊婦3人は無事出産。被災地から駆けつける入院患者家族向けに、院内の施設を宿泊用に無料で貸すなどのサポートも続けている。

 現地の医療支援も継続している。久留米大病院は、医療ニーズが慢性期に移行した後も災害医療チーム(JMAT)を今月6日まで9次にわたって被災地に送り、南阿蘇村では介護施設を回って高齢者の健康状態を見守った。

 聖マリア病院はエコノミークラス症候群を防ぐためのエコー検査や、心と体の機能が低下する「生活不活発病」予防のリハビリ指導など支援を続けている。

■久留米市400人超派遣 筑後地区避難受け入れ200人超

 「高齢者を中心に避難者の疲労がたまっている。これから気温が上がる中で、支援職員も細かな配慮が必要になりそうだ」。避難所になっている益城町の総合体育館で食事の準備など支援に当たり、日帰りした久留米市職員の二人は13日夜、西日本新聞の取材に声をそろえた。

 各自治体が職員派遣を続ける中、久留米市も上水道の復旧支援や保健師による健康相談など延べ400人以上を派遣した。市救援本部によると罹災(りさい)証明を出す倒壊家屋調査など、被災地の状況に合わせて今後も支援を継続する方針だ。

 自治体単独にとどまらない支援も。大牟田市は市介護サービス事業者協議会、市介護支援専門員連絡協議会と官民一体で福祉支援チームをつくった。11日から宇城市に派遣し、避難所で高齢者や障害者らをサポートしている。

 久留米市は4月25日から5月8日まで、日帰りのボランティアバスを運行した。初心者や経験の少ない人が対象で、計263人が参加。利用者からは「最初の一歩を踏み出せた」との声もあったという。20日からは金、土曜日に計10回のバスを出す。

 被災地では大量のごみの処理も課題だ。久留米市は菊池市など4自治体の、大牟田市は八代市のごみを受け入れた。ともに累計約380トン。大牟田市は16日から熊本市に職員と車両を派遣してごみを収集する。

 動物の命も守った。大牟田市動物園は、熊本市動植物園から避難したユキヒョウ「スピカ」を預かっている。6月4日には誕生日会も開くという。

 住宅の損壊などで筑後地区に避難してきた人も多い。自治体が確認できただけで久留米市では44世帯115人、大牟田市では35世帯91人が公営住宅などで生活している。

 久留米市の旅館で暮らす夫妻は熊本市東区から避難してきた。「久留米に来て地震への恐怖心は感じなくなった」とほっとした表情を浮かべつつ、「生活が落ち着き、日常が戻るまでどれだけかかるだろうか」と地域の先行きを案じていた。

■文化財の被害修復これから 柳川市、9件で確認 

 16日の本震で震度5強を記録した柳川市では、国指定名勝など9件の文化財に被害が出た。市は災害復旧の国庫補助事業に申請した上で、できるところから修復に乗り出すという。

 市によると、被害が最も大きかったのは国指定名勝「水郷(すいきょう)柳河」を構成する三柱神社。本殿南側の木塀(1826年建築)が15メートルにわたり倒壊。木塀は地面に倒れたままになっており、市は近くシートをかぶせ、なるべく当時の建材を使っての復元方法を検討する。

 同じく国指定名勝の「立花氏庭園」(御花)では、南側掘割の護岸の石積みに緩みが見つかった。市は「放置しておけば梅雨の増水などで被害が拡大する恐れがある」とみて今後、御花と協議するという。

 落石などで一時、全面通行止めになった八女市矢部村の国道442号。現在は片側交互通行になっており、管理する県が全面復旧の方法などを検討している。

1カ月たっても倒壊したままになっている三柱神社の本殿南側木塀

=2016/05/15付 西日本新聞朝刊=


札幌五輪計画案 市民の理解あってこそ

2016年05月16日 01時39分30秒 | 障害者の自立

 札幌で再び冬季五輪を開催することは、道民に夢と希望をもたらし、ウインタースポーツの振興にもつながるだろう。

 それも、経費を含めて市民や道民の理解を得られてこそだ。

 2026年冬季五輪・パラリンピック招致を目指す札幌市が、開催概要計画案を発表した。

 開催経費は、スピードスケートを札幌市の道立真駒内公園屋外競技場で行う場合で、14年の試算を520億円上回る4565億円。地元自治体負担も387億円増えて1102億円になった。

 20年東京五輪・パラリンピックは経費膨張が問題となっている。札幌市にはコスト削減意識の徹底と、開催意義を知ってもらうためのさらなる努力が求められよう。

 計画案の最大の特徴は、競技施設を新設せず、既存施設の活用を打ち出したことだ。

 五輪後の施設維持費が膨らむのを抑える考え方といえる。1998年の長野冬季五輪で新設した施設の維持費が、18年後の今も長野市の重い財政負担になっている現実を見ればうなずける。

 半面、国の補助率が低い仮設施設の割合を増やしたため、地元負担が増えてしまった。

 スピードスケート会場に帯広市所有の明治北海道十勝オーバル(十勝管内芽室町)を使う場合も、開催経費は4328億円、地元負担は1050億円に上っている。

 同じく26年の招致を検討していたカナダ・ケベック市は今月、断念を表明した。「多額のお金を投じる価値があるかについて疑問が生じている」というのが理由だ。

 北海道新聞が4月に札幌市民を対象に行った世論調査では、62%が招致に賛成する一方で、反対も37%あった。反対理由は「他にもっと大事な施策があると思う」が半数を超えた。

 大都市札幌でも少子高齢化の傾向は進む。そんな時代にふさわしい大会にしなければならない。

 一方、1972年の前回大会にはなかったパラリンピックを招致していることについても、もっと理解を求めていくべきだ。

 訪れる多くの障害者に優しいまちづくりを目指し、人々の意識と施設の双方でバリアフリーを進めれば、住みよい地域になっていく―。そうした発想が大切になる。

 札幌ドーム周辺に造る選手村の大会後の活用も課題となる。札幌市は、全ての人と環境に優しいスポーツ拠点として整備する方針だが、市民の意見を積極的に取り入れていくことも必要ではないか。

05/15  北海道新聞


新施設「実結の森」開設

2016年05月16日 01時30分03秒 | 障害者の自立

NPO法人来夢/西幸町を知的障害者支援の拠点に/三河材ふんだんに木のぬくもり生かす/竣工式で関係者ら完成祝う

 知的障害者への支援活動を行う、NPO法人来夢(らいむ)は14日、豊橋市西幸町に新築した施設「実結(みゆ)の森」の竣工(しゅんこう)式を開いた。職員や利用者、来賓など約50人が参加。木のぬくもりを生かした新施設の完成を祝った。

 同法人は、知的障害者が日中に軽作業などを行う4施設と、居住するグループホーム2施設を運営。「実結の森」は、同市石巻町の作業施設を西幸町に移転して今年4月1日から運営している。

 新施設は、三河材をふんだんに使った木造平屋建て。石巻町の施設と比べ、作業場を広く設けた。4月から日当たりの良い室内で、利用者15人が軽作業などに励んでいる。

 同法人は、石巻町の土地を借り受けて「実結の森」を運営していた。西幸町の新施設は用地を購入して開設。法人は、同市柱町の借地で活動施設「よつば工房」と「来夢」の2施設を運営している。いずれは、西幸町の敷地内に2施設を移転し、同町を拠点とした障害者支援活動を展開していく意向。

 この日の式典では、建設に携わった工務店への感謝状贈呈式や、演奏会などを実施。同法人の各事業所に通う利用者や保護者は、施設内を見学した。菅野文子理事長は「利用者が安心して通うことができる施設を運営していきたい」と話した。

竣工式の演奏会のようす

2016/05/15  東海日日新聞


災害と多様性尊重/重要課題と改めて認識して

2016年05月16日 01時27分21秒 | 障害者の自立

 災害が起きたとき、被災者を支援するには、多様なニーズをくみ取る配慮が欠かせない。性別や年齢、障害の有無、国籍や文化などさまざまな特性を持つ被災者の誰一人として、被災の上にさらなる困難を強いられることがないよう、多様性を尊重した対応策が絶対不可欠だ。
 東日本大震災後、繰り返し強調されたこの最重要とも言える教訓が、熊本地震でも改めて認識を迫られている。熊本地震の被災地はもちろん全国で、災害対策に多様性の視点をしっかりと根付かせる取り組みを急ぎ徹底させなければならない。
 間仕切りがなく、安心して着替えや授乳ができない。トイレが男女別になっていない。性犯罪の危険を感じる。熊本地震の避難所では、こうした女性たちの悲痛な声が相次いだ。
 不便な環境や周囲の目が障壁となり、自宅避難や車中泊を余儀なくされる障害者や高齢者、乳幼児、性的少数者。残念ながら、東日本大震災の教訓が生かされたとは言えない。
 内閣府男女共同参画局は地震翌日の4月15日、避難所運営などの災害対応に男女共同参画の視点を生かすよう、熊本県と熊本市に通知した。
 避難所チェックシートも添え、活用を促した。シートには、間仕切りやトイレの在り方、乳幼児のいる家庭や女性のみの世帯用エリアの設置、運営管理への女性の参画、多様な被災者の意見・ニーズの聞き取りといった具体的な項目が列挙されている。
 しかし果たして、その通知が迅速かつ十分に行き渡ったのだろうか。
 非常時に即応するためには、地域防災計画に男女共同参画の視点が十分反映されていなければならない。各自治体の防災部門と男女共同参画部門の連携も平常時から強めておかなければならない。
 避難所運営マニュアルなどにも男女共同参画の視点を盛り込み、行政も住民も、訓練などを通して繰り返し意識を高める必要がある。
 熊本市は大型連休後、避難所を集約した。プライバシーに配慮するなど生活環境の改善は図られたが、避難生活が長期化する中、多様性の視点はなお一層重要になる。そのために、多様な視点で専門性を持つNPOと行政の協働も有効だろう。
 それは避難所運営にとどまらない。復旧・復興の意思決定のプロセスに多様な人が参画することが求められる。さまざまな視点を取り入れることが、災害から回復する力を持つ社会の構築につながるからだ。その点、熊本県が先ごろ設置した復旧・復興有識者会議のメンバーが全て男性なのは残念だ。
 昨年3月、仙台市で開かれた国連防災会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」は、女性のリーダーシップの促進、政策・計画・基準の企画立案や実施における女性の参画の重要性を示している。本年度から5年間の第4次男女共同参画基本計画もこれらの推進を明記する。
 災害はどこでも起こる。誰もが自分の事として多様な視点の必要性を肝に銘じたい。

2016年05月15日   河北新報