原因不明の激しい疲労や倦怠感が半年以上続く慢性疲労症候群(CFS)について、認知機能にかかわる神経伝達物質受容体を攻撃する「自己抗体」が患者の血中で生成されて脳内に入り込み、機能を低下させるメカニズムを解明したそうです(YOMIURI ONLINE)。CFSは、感染症や過度のストレスなど複合的な要因から、免疫系などに異常が生じ、脳神経系が機能障害に陥ると考えられていますが、詳しい発症メカニズムは分かっていませんでした。CFS患者の約半数で、神経伝達物質受容体(mAChR)に反応して攻撃する自己抗体が血中に検出されている例があることに着目し、自己抗体を持つ患者5人と持たない患者6人、健常者11人の脳をPET検査で比較したところ、自己抗体を持つ患者の脳では、mAChRの発現量が10~25%低下していたことを突き止めたそうです。人間の脳は、一般に脳血管から脳神経細胞に有害物質が入り込まない仕組みになっています。BBB(血液脳関門)です。CFS患者の血中では、免疫系の異常により自己抗体が作られて脳内に入り込み、神経伝達機能に直接影響を及ぼすという可能性が示唆されたとしています。
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