健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

フラバノールで記憶力低下が改善

2014-11-11 08:30:03 | 研究
ココアに含まれる生物活性物質フラバノールが、年齢による記憶力低下を劇的に改善させることが確認されたとの研究論文が、Nature Neuroscienceに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。実験ではフラバノールを含有するココア飲料を被験者らに摂取してもらい、それぞれの脳の状態を測定。被験者は50歳~69歳の健康37人。900mgあるいは10mgのフラバノールを含有するココアを、3か月にわたり毎日飲ませ、海馬の歯状回の血液容量を脳撮像で測定。歯状回は記憶の形成に関わる部位で、その処理能力は通常、年齢とともに低下するそうです。さらに、被験者がココア飲料を飲み始める前と後で記憶力テストを実施。テストでは歯状回によって制御される種類の記憶を評価するために考案された20分間のパターン認識課題が出題。その結果、高用量のフラバノールを摂取したグループは、記憶力の大幅な改善を達成した上、歯状回への血流量の増加もみられたというものです。この結果は、実験開始時に被験者が典型的な60歳代の記憶力を持っていたとすると、3か月後の被験者の記憶力は平均して典型的な30代か40代のものになっていたというものだそうです。ただ、これらの研究成果を検証するためには、グループの規模を拡大して実験を重ねる必要があるとも。フラバノールは大きな関心を集めている化合物で、世界規模で急増する高齢者人口の加齢による記憶力低下の問題に薬を使わずに対処できる可能性があるとされているそうです。フラバノールは、ブドウ、ブルーベリーなどの果物や、一部の野菜や茶などに含まれているそうですが、その種類や含有量はそれぞれに大きく異なるとも。ココアに含まれる種類のフラバノールについては、歯状回の処理能力を向上させることがマウス実験によるこれまでの研究で判明していたそうです。今回、フラバノールが人間の歯状回の機能を、特に高齢の人間で向上させることを実際に示した初めての研究だそうです。
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