ビタミンAの重要な源となり、一部の果物や野菜を鮮やかなオレンジ色や赤色にする色素「カロテノイド(カロチノイド)」を生成する遺伝子を、ニンジンで特定したとの研究結果がNature geneticsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。「DCAR_032551」と命名された遺伝子の存在は、ニンジンのゲノム(全遺伝情報)の完全解読によって明らかに。論文では、ビタミンA欠乏症が地球規模の健康問題となっていることを指摘し、カロテノイドを豊富に含むニンジンについて、プロビタミンA(ビタミンAの前駆物質)の重要な供給源と説明しているそうです。ニンジン(キャロット)で最初に発見されたカロテノイドは、ニンジンが持つ遺伝子のどれが、その形成に最も大きく関与しているかについてはこれまで、謎のままだったそうです。ニンジンは、今回の新たな分析により、合計で3万2115個の遺伝子を持つことが明らかになったそうです。これによりニンジンは、ジャガイモ、キュウリ、トマト、コショウなどを含む、ゲノムが完全解読された十数種ほどの野菜のグループの仲間入りを果たしたとも。ニンジンには、体内でビタミンAに変換される天然化学物質のベータカロチンが豊富に含まれているそうです。オレンジ色が濃いほど、ベータカロチンの含有量が多くなるそうです。ビタミンAは、正常な発育と発達、さらには免疫系や視力の正常な働きなどに不可欠とされています。また、カロテノイドについては、細胞を傷つける恐れのある「フリーラジカル」と呼ばれる単体の酸素原子を中和する抗酸化物質として作用し、心臓病や一部のがんを防ぐ働きがあると考えられているそうです。また、興味深いことに、ニンジンが持つ遺伝子の数は、他の多くの植物と同様に、ヒトのそれより約20%ほど多いそうです。
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