とうとうインフルエンザの季節になってきました。岐阜や愛媛など少なくとも13の保健所で、インフルエンザの患者報告数(11月4日~10日)が流行入りの目安である定点医療機関あたり1.0人を上回ったそうです(医療鍵CB NEWS)。全国約5000か所の定点医療機関あたりの報告数も3週連続で増加だそうです。しっかりと対策をして、予防しましょう。
抗がん剤を入れた小さなカプセルを注射し、膠芽腫という悪性脳腫瘍の増殖を抑えるマウス実験が成功したそうです(MSN産経ニュース)。脳の血管を構成する細胞は血中の物質を簡単に血管の外に出さない「血液脳関門(Blood Brain Barrier: BBB)」という仕組みを持ってます。ですので、薬を血中に投与しても、血管の外にある腫瘍に届きにくく、大きな治療効果が期待できなかったそうです。そこで、腫瘍とそれを取り巻く血管細胞の表面だけにある特定の分子にくっつく直径30ナノメートル(nm)ほどのカプセルを作製して、人の膠芽腫を移植したマウスの静脈に投与したそうです。すると、カプセルは腫瘍の血管の壁にくっついて通り抜けて血管の外に脱出し、腫瘍細胞に入って薬を放出したというのです。すごい技術ですね。
香りが過去の記憶をよみがえらせる「プルースト現象」と呼ばれる体験によって、快感や自分の体験の記憶に関わる脳の働きが活性化し、健康状態も改善するとの検証結果が発表されたそうです(YOMIURI ONLINE)。男女計10人(20~35歳)に自分の肯定的な体験を思い出す市販の香水と、具体的な記憶と結びつかない未発売の香水をそれぞれ2分間嗅いでもらい、PET(陽電子放射断層撮影)で、脳の状態を比較したそうです。その結果、「プルースト現象」を起こす香りでは、快感などを判断する「前頭眼窩(がんか)野」と呼ばれる大脳の前部や、自己記憶に関わる「後部帯状回」と呼ばれる大脳の内側が同時に活性化したそうです。また、炎症を起こす体内物質が血中で減少、体の状態を良くすることも確認したとも。プルースト現象を起こす香りを嗅ぐと、「出勤前のお父さん」「果物を食べた夏休み」「友達との買い物」などを思い出し、「懐かしさ」「快さ」といった感情が強くなっていたそうです。未発売の香水では、こうした効果は見られなかったとも。
先日、米国食品医薬品局(FDA)は、マーガリンなどの加工食品に含まれるトランス脂肪酸の規制に乗り出す方針を明らかにしたという報道がありました(YOMIURI ONLINE)。トランス脂肪酸を含む食品の販売はFDAの許可制となり、販売禁止になる食品も出てくる見通しだそうです。60日間、国民から意見を募集したうえ、正式に決めるそうです。トランス脂肪酸は、液体の油を固体に変える際に生成する分子で、ケーキや揚げ物などにも含まれるものだそうです。体内に入ると、血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあるため、摂取しすぎると動脈硬化が進行、心臓病になりやすくなるものだそうです。米国疾病対策センター(CDC)は、トランス脂肪酸の規制により、年間2万人の心筋梗塞を防ぎ、心臓病による死者を7000人減らすことができると推定しているとのことです。
人種にかかわらず少女の思春期が以前より早まってきているそうですが、肥満がその要因かもしれないとの研究結果が小児科専門誌「Journal of Pediatrics」に発表されたそうです(AFPBB NEWS)。特に白人の少女にこうした因果関係が強くみられたそうです。思春期を迎える年齢が早まっていることは、乳がんや卵巣がん、高血圧やうつ病のリスクを増大させるなど、これまで多くの病状と関連付けられてきたそうです。研究によると、白人の少女の胸が膨らみ始めたのは平均9.7歳で、1997年の調査時に比べ約4か月早かったそうです。また、すべての人種で、肥満の程度を表す体格指数(BMI)が高いことが、早期に胸の発育が始まる「最も強い予兆」だったというのです。アフリカ系の少女は白人やアジア系よりも早い時期に胸の発育が始まるが、その時期は80~90年代の調査から変わっていないとも。
男性ホルモン「テストステロン」の補充療法を受けた中高年男性は、心臓発作や脳卒中、死亡のリスクが高まるとの研究報告が発表されたそうです(AFPBB NEW)。研究は、テストステロンの分泌が少ない男性8700人超を対象に行われ、このうち1223人はテストステロンの補充療法を受けた男性で、平均治療期間は約2年だそうです。研究開始から3年後、ホルモン療法を受けていないグループの5人に1人近くが心臓発作や脳卒中を患ったり、死亡したりした一方で、補充療法を受けたグループではこの割合が4人に1人だったそうです。ホルモン療法を受けたグループの男性は、受けていないグループよりも「初めは若干健康だった」そうです。また、ホルモン療法を受けたグループの平均年齢は61歳で、受けていないグループ(平均64歳)よりも若かったとも。今回の結果はテストステロン補充療法の安全性に疑問を呈するものだそうです。米国ではテストステロン補充療法の年間処方件数は2000~2011年に5倍に増加し、530万件に達したそうです。金額にして16億ドル(約1580億円)前後に。この治療法は、テストステロンの減少に伴う性欲減退、精力減退、記憶力の低下などの症状がみられる男性に対し推奨されているそうです。
フィリピンで商業化が予定されている世界初の遺伝子組み換え(GM)イネの生産が、環境保護団体などの強い反発があるにもかかわらず、今後2、3年以内に承認される見通しだという報道が先日ありました(AFPBB NEWS)。フィリピンに本部を置く国際稲研究所(International Rice Research Institute、IRRI)と比農業省双方の担当者が発表したところによると、GMイネの生産に反対する活動家によって8月に試験農場1か所で破壊行為があったにもかかわらず、新しく開発された遺伝子組み換え作物(GMO)の「ゴールデンライス」は試験栽培を完了したそうです。承認に要する期間の長さによるが、種を農家に流通させる準備が整うまでには最低でも「2年から3年」はかかるそうです。今後はGMイネの消費と栽培に関する安全性を判断するための試験を実施する予定だそうです。ゴールデンライスは、ビタミンAを作り出すように遺伝子組み換えが行われているものとのことです。発展途上国の多くの人々の食事にはビタミンAが不足しており、結果として免疫の低化や失明などを引き起こし、死に至る場合も多いとIRRIは指摘。しかし、多くの環境保護団体は、GMOが有害な副作用をもたらし、それが非GMO作物にも取り返しがつかないほど拡散しかねないとして、GMOに反対しているそうです。さて、世界初の遺伝子組み換えイネの行方は。
厚生労働省研究班は、健康な日本人約1200人の遺伝子情報データベースを作り、12日からインターネットで公開を始めたそうです(日本経済新聞)。病気の原因遺伝子の発見や病気になりやすい遺伝的体質の解明などに役立ててもらうというのが目的のようです。研究班は次世代シーケンサー(解析装置)で1208人分の遺伝子情報を解析し、京大ゲノム医学センターのサイトでデータを公開した。研究班には国立成育医療研究センターや東京大、東北大なども参加したそうです。
厚生労働省の研究班は、今月からアルツハイマー型認知症の予防や根本治療薬の開発につながる調査研究に乗り出すそうです(YOMIURI ONLINE)。アルツハイマー型認知症をほぼ確実に発症する家族性アルツハイマー病の患者や家族の実態調査を実施して、この病気の遺伝子を持つ人を対象にした国際研究「DIAN(ダイアン)」に参加することで、アルツハイマー型認知症全体の発症メカニズムの解明や創薬が期待されるというものです。全国の認知症高齢者は、推計で約462万人。こんなにも患者さんがいるのですね。主な認知症には数種類あるそうですが、記憶障害が主症状のアルツハイマー型が最も多く、全体の約7割を占めるそうです。海外の研究によれば、家族性アルツハイマー病の遺伝子を持つ人のほぼ全員が発症し、発症の時期も40歳代、50歳代などが多いそうです。世界では、遺伝子を持つ家系は約520見つかっているそうですが、日本での実態は不明だそうです。研究成果が待ち遠しいですね。
冬の味覚としても人気が高いアンコウ科の「キアンコウ」は、深海に生息しているとされてきましたそうですが、1年のほとんどを浅い海域で生息し、深海魚ではない可能性が高くなったことが青森県の研究機関の調査で分かったそうです(NHK NEWS WEB)。「キアンコウ」は、アンコウ科の魚の1つで、青森県によりますと一般に「アンコウ」として流通し、鍋の具材などとして広く親しまれているそうです。これまで日本各地の沿岸の深海に生息し、特に津軽海峡での生息数が多いとされていて、青森県産業技術センター下北ブランド研究所は、3年前に、津軽海峡に生息する10匹の尾に水深や水温を1時間ごとに計測できる小型の機械を付けて放流し、去年6月までの2年間にわたって詳しい生態を調べたそうです。その結果、1年間のうち、水深200メートルより浅い海域に生息していた時期が、時間にして88%で、水深200メートルより深い深海に生息していた時期は、12%にとどまっていたことが分かったというのです。特に、5月から6月の産卵期には60メートルから100メートルの浅い海域に移動していたとも。また、生息域の水温は、夏から冬にかけては12度前後の水温に生息していたのに対し、産卵の時期を控えた3月には1年のうち最も低い6度前後の水温に生息していたということです。今回の調査結果から、キアンコウの生態はこれまで謎が多かったが、今回の調査で深海魚だという定説は崩れたということです。生息する水温が分かったことで効率的な漁につながり、養殖などの資源管理も可能になることも期待されるということです。