横須賀うわまち病院心臓血管外科

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再膨張性肺水腫 = MICS(小開胸手術)の合併症としての可能性

2018-12-17 22:44:05 | 心臓病の治療
 最近件数が増えている小開胸の弁膜症手術は、右開胸した際に右肺を虚脱させて視野を確保して手術します。開胸しただけでは肺が邪魔をして心臓がみえないため、分離肺換気して左肺だけで換気し右肺は虚脱させます。
 閉胸の時に肺を再び陽圧換気させて膨らませて、再び両肺の換気を再開します。

 一度しぼんだ肺が急激に膨らむと肺水腫のように突然の肺胞の浮腫がおきて、喚起不全に陥ったり、胸部レントゲンやCTで異常陰影などが指摘されることがあります。これを再膨張性肺水腫といいます。

 MICS=右小開胸の心臓手術でも、再膨張性肺水腫になる可能性があります。特に心臓手術の術後は、水分の体内貯留が多く体重が数kg増加し、肺水腫になりやすい環境にあるので、再膨張性肺水腫などほかの要因で肺の浮腫が起こった場合は重症化しやすいと考えられま。
 再膨張性肺水腫の治療は、循環の維持・補正により適切な水分管理をすること。全身浮腫を軽減させるべく利尿剤などを使用すること。陽圧換気で水分で充満したり虚脱した肺胞を広げて酸素交換を改善させ、血中の酸素濃度を適切に保つこと、などが考えられます。
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