ちょっと違うんじゃないの？

サッカー・ワールドカップ後に引退した中田英寿について、意外にも否定的な意見が多い。

「引退しないで」という声ではなくて、「あいつが何ぼのもんじゃい！」というものだ。

中には、イチローと比較してどうのこうのと言うヤツがいる。

曰く「イチローは、大リーグで記録を次々と塗り替えているが、中田は欧州で得点王にでもなったことがあるのか」

これって、完全な言いがかりだろう。
野球もサッカーも、チーム競技だが、記録に関して言えば、野球は一人でもできる。
チームがいくら負けても、ヒットを打てば、それは記録として残る。

昨年までのイチローは、まさにそのような言い方をされていたではないか。

ところが、サッカーはそうはいかない。
しかも、点の入りにくさと言えば、他のスポーツと比べても抜きん出ている。

イチローはＷＢＣで男を上げたが、それは他の選手がついてきたからだが、当然のことながら他の選手がそれなりのプロ意識を持ったヤツらだったからだ。
ところが、サッカーの日本代表は、極端な言い方だが、精神的にはまだ中学生レベルだ。
そんな中に、プロでも通じるサッカーのうまい高校生が入ってきて、プロの大会で「さあ、勝つぞ」とはっぱをかけるのだが、如何せんまだまだガキだから、プロの大会に出られるだけで大はしゃぎ。
誰も彼の言うことに反応しない。
いくら勝てる実力があったところで、これでは勝てない。

中田自身に責任がないとは思わない。
しかし、少なくとも他のほとんどの選手には「勝とう」という気持ちがあまりなかったのも事実だろう。

気持ちだけで勝てるほど甘くはないが、少なくとも気持ちがないのに勝てるはずがない。