栗林公園の池。
ふと聞きとめたのは牛蛙の声。
もう牛蛙!
季節は巡るけれど、今年のよう流行病に国民が脅かされるのは私の長い人生でも初めての出来事。
睡蓮の新しい葉の上に落花が乗っている。
小さな魚の群が眼にも止まらぬ速さで泳いで行く。
何かに追われているわけではあるまいが、、、、
水の中、面を見るのは好きだ。
時間を忘れる。
ふと考えた事。
後期高齢者になった今、亡くなった母の事。
今の私と同じ年齢だった母の生活をふと思った。
嫁に出て実家を離れた私は、母は実家の兄にまかせっきり。
生活に不自由はしていなかった。平穏な日々だったと思う。
年に数回しか、実家を訪れていない私の知っている事はテレビの野球と相撲の
中継が好きで観ていた事以外、何を毎日やっていたか、全く知らない。
客の多い実家は、いつ行っても母の茶飲み友達や兄の友人が来ていた。
(兄は将棋と碁を打つ友人)
それと、、、他には思いつかない。
電話で話をするのが苦手な母。母の声を聞くと、母は直ぐに兄や兄嫁と代わる。
それで、せっせと思いつくと、母当ての葉書を良く書いた。返事は、はなから、あてにしていない。無聊?な母のなぐさめになれば良いと思っていた。
本当に、この今の私と年齢が同じ頃の母の姿が見えないのだ。
もう実家のある郷里では、蛙が鳴いているだろうか?
田んぼに水を張るのはまだ早いか?
義理の姉は旦那寺の「仏生会」の甘茶を作る手伝いに行っただろうか?
早くコロナ禍が終息して欲しい。ゆっくりと実家へも行きたい。
☆ 大難を日のわたりたる仏生会 鷲谷七菜子
✾ 灌仏会甘茶を沸かす檀家衆