団地で一番好きな桜、二本。
二本は身を寄せ合って互いを支えている。直径は1メートルにもなるだろう。
綺麗だった。この桜も二年ぶり。
二年ぶりに昔、犬と歩いた場所を歩いてみた。
団地は年々営みが続いていて新しく建った家もあるがほとんど変わっていない。
犬が門の前まできて吠える。昔のままだ。
☆ 年々や老木の花なほ見たし 櫂
傍らの池に、残る鴨がいる。
花筏こそ無かったが、花が池に向かって散るさまは、まことに夢の境地にいるようだった。犬に促されるまで見ていた事も。
サラリーマンで家を二軒使いこなすのは、年金生活では少し厳しいと昨今、思うようになった。
思うと、ますますこの桜の木に愛おしさがこみあげる。
☆ さながらに桜絵巻を広げたる 櫂
師の二句。
老木に下に佇めば、浮かんできた。