老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

て ふ て ふ

2016-10-21 19:48:57 | 俳句
         

散歩の途中でこんな蝶々を見つけた。
桑の葉の裏にじっと止まっている。
写真を撮りやすいように、桑の枝ごと動かすが、じっと身じろぎもしないで、止まっている。
飛んでいる蝶々には興味があるけれど、私が知っているのは紋白蝶や、紋黄蝶、しじみ、、、
くらいで、ほとんど知らない。

桑の葉に止まっている、この蝶々、羽を広げると、どんな模様なのだろうか?
私にしては、珍しい蝶々と思うのだけれど、よく解らない。

安西冬衛の詩に

    てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった

と言う超、有名な詩がある。
韃靼海峡とは、間宮海峡のことである。
作品はそれぞれ、読者が心の中で咀嚼すればよい。

蝶々は1000キロも海を越えてとぶそうである。
この蝶々も、海を渡って南への旅の途中この桑の葉に止まって、羽を休めていると想像すると感慨も沸き起こる。
蝶々を知らない私であるから、いつも、そこらを飛んでいる蝶々かも知れないけれど、知らないがゆえの夢がわいてくる。

         

これは、蝶々かしら。それとも蛾?
私のカメラに収まるくらいだから、どの蝶々も季節外れで元気が無い。

       🐢     小春日の元気な紋白蝶々かな

昨年の句。
茎立をしたキャベツ畑で紋白蝶が何頭も舞っていた。
高く低く小春日を謳歌しているように見えた。

       🍒    秋の果て桑の葉裏の蝶々かな

      
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散歩の途中の秋の庭

2016-10-20 21:04:36 | 俳句
      
宮の桜黄葉がはらはらと散っていた。

     🍒    黄落や防災メロディー流る町

この散歩道は一か月もっと久ぶりかもしれない。
高速道路の側壁に沿って歩く。
見つけたいものがあって、そこへ近づいて探すのは 烏瓜。
朱い実が垂れている筈であったけれど、残念。影も形もない。

夫との会話は 亡くなった犬の事ばかり。
この辺へ来ると、どっちの道が好き。。お水はここで飲むとか。。想い出話が尽きない。

春、夏には素晴らしいガーデニングの庭の方へ歩いてゆく。
庭の手入れに余念のない奥様を見付けて話かける。

庭の奧に黄色い花が咲いている。
薔薇ですか?と尋ねると、 ダリア です。見て下さいと云ってくださったのがこの黄色い素敵な ダリア。

         

並んで、ピンクのダリア。私の思っている ダリア とはすこしかけ離れている改良されている可愛いダリアである。

      ☆   ダリア大輪ルヰ王朝に美女ありき    福田寥汀        

         

今は端境期という言葉があって、ガーデニングにこの言葉があてはまらないかもしれないが
俳句では、花の植え替え時季、秋種を蒔くの季語の季節である。

     🍒    秋蒔や父祖の眠れる山の畑    

           

秋の薔薇が咲いている。

      ☆     今日生きて無傷の日なし秋薔薇    仲田美智子

       

白い秋明菊に鶏頭。

      ☆    秋明菊より見えてゐる東山    佐藤明彦

      ☆    鶏頭に鶏頭ごつと触れゐたる    川崎展宏

      

満開の時はどんなに美しかったと思うほど、この時期にしては、美しい花が沢山咲いている秋の庭である。
これからどのような庭になるのか、楽しみである。

  
     🍒    朝未だき色鳥きたる声に覚め

     🍒    お天守へ午報の太鼓秋澄めり

     🍒    神の留守監視カメラの作動中


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瀬戸大橋の見える郷照寺

2016-10-20 11:20:13 | 俳句
         

厄除けの寺 うたづ大師さんをお参りする。
四国八十八ヶ所の第78番、郷照寺である。
境内は秋のお遍路さんが沢山にお詣りをしておられる。
先に到着したお遍路さんが、御詠歌を唱し、般若心経を唱えるのを待って、次のお遍路さんが本堂の前に進み、般若心経、、、、と信心の人々で賑わっている。

             

仰ぎみると 本堂彫刻絵天井 が、さん然とある。美しいとしか例えようのない天井である。
彩色された、彫刻の花々。

         

         🍒     色変へぬ松忘れある遍路杖

しばらく佇んでいたけれど、この杖はどなたも引き返して取りにおいでにならなかった。
道中、不自由なことであろう。

         

       ☆     里近く茶の花のしたくして    山頭火

       ☆     かうして旅する日日の木の葉ふるふる    山頭火

寺の裏の庭に茶の花が莟をつけていた。
山頭火がこの寺を訪れたかは私には定かではない。
この句は讃岐路の句には違いないのである。
とある年の十月の讃岐での日記から。
         
       

       🍒     遍路打つ鐘鳴り渡る苅田かな

       🍒     秋遍路野を焼く煙に顔あぐる

       🍒     威し銃遍路たゆまず歩きゆく

       🍒     御陵へ蜜柑の山をぬひにけり

       🍒     札所道蜜柑の無人店並ぶ

       🍒     秋霞瀬戸大橋のつひ見えず

晴れていると目の前に瀬戸大橋を望むことができるのだけれど、昨日は残念ながら見ることができなかった。
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海辺のドライブ

2016-10-19 00:04:52 | 俳句
      

庵治半島をドライブする。
「地球の真ん中で愛を叫ぶ」のロケ地にもなった場所で、日曜や祝日は若い観光客を見かけることがある。

半島の東側を巡ると一番高い、そう峠に西洋の城のように聳えている建物がある。
石の彫刻家「流 政之氏」のアトリエである。
一度、中に入りたいと思っているが、公開はしていない。
庭に立派な彫刻が飾られているのを、テレビで観たことがある。
広い庭から、瀬戸内海を見渡すことができる。
時々海を見ながらのドライブで素晴らしい景色を堪能して喜んでいる私。
神戸行きの船が眼下を過ぎてゆくときは手を振ってみたり、車を止めて海岸へ降りて行って満足をしている私。
この美しい景色を独り占めにし、いつだって海、空、鳥を楽しんでいるアトリエの持ち主を羨ましく思っている私。


    

サンポートの親水公園にある彼の作品。

        

四国村にある池と作り滝。

    

何と、竹林の径に沿うて立っている道祖神も彼のデザインによるものだと聞いている。

流氏は「サムライ・アーティスト」として世界的に有名な彫刻家である。
彼は昭和30年頃にこの地の石材工場内にアトリエを持ちそこで仕事を始めた。
亡くなった 「イサム・ノグチ氏」もここ庵治にアトリエを構えていた。
イサム氏のアトリエは、予約をすればいつでも入場をすることができる。

庵治石は日本三大花崗岩の一つで花崗岩のダイアと高く評価されている。
きめ細かな地肌で風化に強く、磨けば磨くほど艶が増す。

石の町庵治には至る所に彫刻が飾られている。
石屋の前を通ると、マリアさま、観音さま、閻魔さま、天使、狸、燈籠、ライオン、亀、あらゆる石の置きものが一緒に並んでいて笑を誘う。

一方で芸術作品。一方に遊び心いっぱいの置物、庵治の楽しい側面でもある。

ドライブがてら海辺の散歩を楽しんだ。

      🍒    地虫鳴く堂や閻魔の赤き舌

      🍒    菊日和老で賑ふ蚤の市

      🍒    秋暑し言葉を持たぬ石の獅子
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稲架

2016-10-18 07:47:46 | 俳句
 
          

        ☆     稲架解きて野面の末を見なほせり    佐野まもる

        
稲架も最近は見なくなった。
機械が一台あれば、その場で稲を刈って、脱穀ができ、籾摺りまでしてしまう。
よほど、機械の入れぬ狭い土地や、段々畑などでしか稲を刈り、稲架を立ている光景には出会わない。

佐野まもるは徳島県出身の俳人。(明治32年生   昭和59年没)馬酔木同人
一連の農作業を終えて、稲架も解体をした。
剣山が遥かにみえたか?それとも高越山か?
吉野川に沿った広々とした阿波平野を望み、野良仕事を終えしみじみと古里への感謝の念がわいたのであろう。

すぐ浮かぶまもるの句

     ☆     天明は遍路のわらじ結ふに足る    佐野まもる

(早発ちの遍路は、宿の土間にさす幽かな明け暁けの明りで草鞋のひもを結んだ。宿の戸口では今日の遠い行程が待っている。  まもる自証)   
阿波はお四国お遍路の国。
たとへ遍路に発たずとも、日常生活で遍路姿に接し、遍路鈴を聞く環境にあった。遍路の名句が多い。

     ☆     二三段雪のきざはしクリスマス
     
     ☆     みずひきは紅をかなしむ陵の花

     ☆     白峰はみささぎながら茸にほう


散歩の途中で見た稲架。
我が家へは、お隣さんから新米が届いた。
心が浮き浮き、、、、。

     🍒     マッチ棒ごとき燈台天高し
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