Blog~続・トイレの雑記帳

鉄道画像メインの「ゆる鉄写真ブログ」のつもりでしたが、
政治社会の事共について記したくなり、現在に至ります。

「反面覇者」

2012-05-27 14:34:18 | 国際・政治

2012=平成24年5月最後の土・日曜、当地愛知は、予想外の穏やかな晴天に恵まれた。雨がちな梅雨の時季を翌月に控え、貴重な気候かもだが、昨日と今日は、身辺の雑用処理と休養に充てる事とし、2日目の今は、拙記事を書いている所であります。スポーツの世界にては、我国の登山家 竹内洋岳(ひろたか)さんが大変な深手を負いながら、先輩の方々が果たせなかった、標高8000m超の14の高峰の完全登頂に成功を収め、又、昨年我国のカーレーサー、小林可夢偉選手が第5位入賞を果たしたF-1世界選手権、モナコGPが日本時間の今夜、決勝を迎える。今回、小林選手は予選第12位。街の真ん中で競われ、一度操縦を誤れば、ガード・レール激突の危険が付き纏う同レースが、決して容易でないのは理解できるが、願わくば、安全裏に1位でも上を目指して欲しい所。ここからは余談になるが、昨夜のあるTV番組にて、女優でもあるピアノ奏者 松下奈緒さんが、モナコゆかりの故・グレース王妃に因む楽曲を好演していらしたが、どうせなら、同妃の夫君 レーニエ大公肝入りのF-1モナコGP 歴史的名勝負の画像を紹介して欲しかったと思うのは俺だけか。想えば1992=平成4年の同戦にての、故A・セナ選手とN・マンセル選手の終盤の死闘は、本当に世界に感動をもたらした素晴らしい勝負だった。松下さんの旋律を聞きながら、あの大接戦が否応なく脳裏を過った昨夜の一時であった。

さて、スポーツ等の世界の素晴らしさに引き換え、我国の政治の方は相変わらずの低レベルな印象を拭えない。先日、沖縄復帰40周年に絡む、鳩山元首相の失態に苦言を申したのはご存知かと思うが、拝借中の拙父の雑誌記事に、関連文献があったので、ここに紹介して引き続きこの事共を糾して参ろうかと思う。文献は一昨年、2010=平成22年春のものだが、十年一日改まる事のない「寄せ集め体質」の民主党の現状を考えれば、引用は決して不適当ではないと俺は見ている。それでは・・・

『永田町コンフィデンシャル~小沢・鳩山脱税疑惑と憲法75条』 by 九段靖之助

--- 「(鳩山)総理!(当時) あんたは平成の脱税王だ!」

後に経済財政相に就く、与謝野馨(よさの・かおる)さんが、時の鳩山首相に迫った。鳩山大臣は、6億円の追徴税を支払っている。通常、1億円以上の脱税は、即お縄頂戴だ。この「脱税王」は日本国憲法第75条によって守られている。以下条文

「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、訴追の権利は害されない」

この条文は、国務大臣より強い保護を首相に与えるものと解されている。憲法学の泰斗(たいと)、宮澤俊義博士はこう言う。

「この様な特典を、首相に認める必要があるかどうかは、確かに問題であろう。しかし、首相は常に国会のコントロールの下にあり、衆議院は不信任決議案によって内閣を倒し、首相をその地位から追う事ができるから、この程度の特典を認めたからと言って、さほど実際に困る様な結果をもたらす事はない様に思われる・・」

この講義を大学で聴いた時、「何をバカな事を言ってるのか」と思った。何故なら、首相は常に議会の多数派から選ばれる。この多数派が、内閣不信任案を否決するケースは枚挙にいとまがない。多数派を握る限り、首相の地位は安泰だ。現に鳩山大臣は圧倒的多数派を握り、ヌラリクラリと野党の追及をかわしている。「(その様な問題があると知りつつ)、国民は私共民主党を選んで下さった。その負託に応えるのが私の責任の取り方だ」と言うが、選挙の前後で事態は変わっている。偽装献金が発覚した当初、鳩山大臣は「自己資金を入れた」とした。その後、母親からの仕送りがばれ、「そんな事はないと信じたい」としたが、動かぬ事実となるや「あれは貸付金だ」と強弁する。弟、鳩山邦夫議員が「私も、母からもらっていた。親子の間に貸付はない。贈与税を納める」と「告白」するに及んで「贈与と認識する。しかし、私は知らなかった」と逃げを打つ。弟の告白がなければ、首相の権勢を利して「貸付金」として、贈与税を逃れる算段だったに違いない。

「天地神明にかけて知らなかった。それと違う事実が出れば、議員バッジを外す」と鳩山大臣(当時)。だから、与謝野議員が鳩山邦夫議員の証言「兄は、しょっちゅう母の所へ行って、子分を養う金を無心していた」を持ち出した時、色をなして否定した。「全くの作り話だ。兄弟と言えども、最早信じられない」激昂する鳩山大臣に、場内より「兄弟の友愛はどうした!」と野次が飛ぶ。茶番もいい所だ。死人の名まで借りて贈与税を逃れようとし、虚言に虚言を重ねて逃げまくる男が、この国のトップに居座っている。それを、(不適切かつ不条理な)法の定めでどうにもできない。宮澤博士は「困った結果にはなり得ない」としたが、正に目下、困った事態が起こっている。

一方の小沢元代表は不起訴となった(当時)。検察が、同元代表の権勢に屈した格好だが、小沢夫人の実家、F建設の約4億円脱税を摘発した所を見ても、現場はやる気の構えだ。今頃小沢元代表は「副首相にでもなっておけば良かった」と悔いているかも知れない。師匠・金丸 信 元自由民主党幹部は副首相の座を降りた途端逮捕、起訴された。

先の与謝野さんの質問に先立ち、野田 毅さんが鳩山大臣(当時)に迫った。「親子の間で、贈与を知らない訳がない。知らなかったのは、贈与でなかったからだ。政治資金だったからだ。贈与なら、贈った方は罪に問われない。もらった方が脱税に問われる。政治資金なら、限度を超えて寄付した方も、受け取った方も罰せられる。のみならず全額=約12億6000万円没収だ。足りなければ追徴金を課せられる。だから贈与とみなす事にした。そうではありませんか?」さすが、国税庁で課長補佐をやっていた野田さんならではの追及だ。対する鳩山大臣の答え。「私がみなした訳ではない。弁護士2人と検察の三者で、それでは贈与とみなす事になった」鳩山大臣についても、小沢元代表についても、検察の対応には、指揮権発動の匂いがある。検察庁法第14には、法務大臣が検察を指揮する権限を認めている。時の千葉景子法相は、日教組上がりの輿石 東副幹事長の「指揮下」にある。同副幹事長は「小沢元代表の左大臣」と目される。連携はできている訳だ。宮澤博士は言っている。

「検察庁法第14条がある限り、日本国憲法第75条の存在理由は小さい。何故なら、検察が欲する首相の「同意」を、首相が拒否する以前に、法相が指揮権によって検察を抑え込めるからだ・・。」

この際、日本国憲法も指揮権も考え直す必要があるのではないか。政権2トップの、前例にもない厚顔無恥が、それを考えさせる。 ---

まあ、内政面にては、法制の問題も絡んで困った状況の様だが、外交安保の方も好ましくない風情を、鳩山元大臣は招いている。長くなるが、別の視点より見てみたく思う。

『常識のためのサプリ~普天間(問題)を解決不能に追い込んだ鳩山首相(当時)』 by 屋山太郎

--- 米軍 普天間飛行場の移転問題がこじれにこじれて、"解決不能"の状態に陥っている。それと言うのも、時の鳩山首相が就任早々、辺野古地区への移転を否定したからだ。同首相はかねて「駐留なき安保」を唱えていた。そもそも駐留なき安保政策が成り立つのか。

冷戦後、ドイツ駐留の米軍が本国へ引き揚げようとした時、同国民は大反対した。米軍が駐留していてこそ、ドイツが攻撃された時、米軍が自軍と共に反撃してくれると信じていたからだ。米軍が駐留していないのに、米軍が国外から相手国に攻撃してくれるとドイツ人は信じなかった。自国への攻撃に、どうして同盟国をコミットさせるかを考えるのが、軍事常識と言うものである。鳩山首相は、辺野古を断れば、米軍は国外に引き揚げざるを得なくなると考えたのだろう。が、それでも米軍の抑止力が維持されると考えるのは、とんでもない非常識だ。

政府・与党の沖縄基地問題検討委員会の視察団は2/11グアムを訪れ、カマチョ知事に普天間飛行場の移転受け入れを陳情した。同知事は「海兵隊8000人と、その家族の受け入れで一杯だ」と断った。それでも社会民主党の阿部政審会長は記者団に「インフラ設備を整えれば、受け入れ可能だと思う」と食い下がったものだ。一体この政府・与党の検討委員会は知事が「OK」と言えば、即座に問題が片付くとでも思っているのか。これは無知蒙昧の類で、国会議員の資格すらない。こう言う無知な連中に、安全保障政策を委ねて良いのか。これは「基地問題」に名を借りた、非武装中立の政治イデオロギーの復活と見なす他ない。N・Zとかアイスランドと言った、奪っても余り意味のない所では、非武装や中立が成り立つかも知れない。しかし日本は古来、中国(大陸)から狙われ続けている国だと認識する必要がある。

中国にとって、日本を屈服させ、服従させ、あわよくば併呑(へいどん)すれば、太平洋は我が物になる。中国は、四方の国を華夷秩序に従わせようとして来た。北狄(ほくてき)、西戎(せいじゅう)、南蛮を全て服従させ、日本も東夷と呼んで屈服させようとして来た。その意図を断固撥ねつけたのは、7世紀初頭の聖徳太子で、「日出づる処の天子・・」との書を隋の陽帝(ようだい)に送り、対等外交を目指した。このほぼ1500年にわたる歴史を見れば、日本の置かれた位置がわかるだろう。
中国大陸は、一党独裁の下に、ここ20年にわたって軍事費を毎年10%以上ずつ伸ばして来た。これは一体どの様な意図なのか。脅威は何によって計る事ができるか。その国に ①意図  ②歴史 ③能力 の三つを見れば明らかだと、瀬島龍三さんに教わった。

中国の意図は明らかに見えるが、当事国は「意図はない」と言うだろう。従って脅威は「歴史」と「軍事的能力」によって計る他ない。日中の歴史は既に述べた通り。北狄を防ぐ狙いで作られた「万里の長城」既に中国の中心に位置する。日本が満洲国を創設したのは、そこが中国人の土地ではなかったからだが、今では立派に中国領だ。チベットは併呑され、モンゴルも脅かされている。北朝鮮の唱える「自衛的な抑止力」になぜ200kgものノドン対日弾道弾が必要なのか、明確な「北」の説明はない。

中・朝の存在は、明らかに日本の脅威である。経済的な交流、親善交流も必要だが、軍事的な備えなしに、国の安全は計り得ない。特に日本は、米・中の要にある。核なき日本が独立を守るためには自由、民主主義、基本的人権で価値観を共有する米国以外にない。日・米・中の「正三角形」論等は戯言だ。

日本は、米国の抑止力で冷戦時代を乗り切って来た。冷戦が終わって、米国は世界戦略を組み直した。その際、普天間飛行場の移転とグアムへの海兵隊約8000人の移動が決まった。これは、ほぼ10年にわたる日米の政治、軍事的考察、折衝の後に、既に2006=平成18年に両国で合意されたものだ。同年以後に国際情勢が様変わりしたとか、日本で革命でも起こらない限り、国際的合意は履行されるべきものだ。

鳩山首相(当時)は「5月までに決定する」と述べているが、延長した間に移設受け入れを表明していた名護市の市長が反対派の市長に替わった。仲井眞沖縄県知事は、燃え上がった反基地運動に立ち往生するに至る。国際情勢を理解せず、国内の政治の流れをも読めない愚鈍な首相は、早く退陣してもらいたい。 ---

この結末は、屋山さんの仰る通りのものとなったのはご存知の所だが、鳩山元首相は何らの責任をも取る事なく、政権より「夜逃げ」同然で離脱する事となった。続く菅政権は、東日本大震災の不運はあったにせよ、鳩山政権の「負の遺産」の解消には程遠く、野田現政権にも、多くは期待できない様だ。増税への政策は、ある程度やむを得ない側面はあるだろうが、それに見合った国民市民に分り易い夢やビジョンを見せようとする姿勢には大きく欠ける。何らの徳もなく、「反面覇者」でしかなかった鳩山政権の罪業は、それ自体のみならず、後に続く各政権の運動性能をも、大きく鈍らせてしまった所にあると見るのは、俺一人ではあるまい。季節は画像の通り、入梅前の新緑が映える爽やかな時季のはずだが、それにしても、今一つスッキリした気分になれないのも事実である。

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コメント (6)
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