一昨年来、愛好者の悪友の影響もあってか、東海道新幹線の撮影が多くなった。確かに古の蒸気機関車や旧世代電車、電気機関車とは異なる映像の魅力が認められ、風景的にも優れた箇所も少なくない。これからは、拙写真の一ジャンルの地位を不動のものとするかも知れない。
その東海道新幹線にて、一昨日、遺憾な事に神奈川県下の高圧送電線事故をきっかけに、午後ほぼ半日に亘り列車運行が停止する事態に陥った。運休範囲は最大東京~大阪間にも及び、神奈川県下にて判っただけで5列車が立往生=スタック。3000人を超える乗客各位が、数時間に亘り電力を失った列車内に閉じ込められる事と相成った。
車内にては空調も停まり、トイレ利用も叶わず体調を崩す方も少なくなかった様だ。運行を担うJR東海は、運行再開を優先し、乗客避難を避けた模様だが、この判断は、人道的に問題が多いのではないか。
2004=平成16年秋、新潟県下の中越地震にて脱線被災した上越新幹線列車よりは、最寄駅まで数km離れていたにも関わらず、乗客各位を徒歩にて避難させている。この時は二次災害の危険を避けると言う別の理由があったとは言え、乗員共々直ちに列車を離れる判断に至っているのだ。上越新幹線の運行担当、JR東日本とは路線の環境も異なり、運行についての若干の見解はあろうが、この事例は十分に考慮されるべきではなかったか。
事故の原因となった高圧送電架線は、直接列車の集電装置パンタグラフとは非接触の箇所だった事もあって、1985=昭和60年来25年間も改修されていなかった由。耐久性が高いとは言え、金属には寿命があり、放っておけばいずれ破断などを起こす事は、素人にも分る事だ。事故の前々日には、試験列車ドクター・イエローによる詳細な検査も行われた由だが、それを以てしても、この異常を突きとめる事はできなかった。「これで万全」はないと言う事だろう。
早い段階の事故情報が少なかった事も、列車待ちの乗客を怒らせる結果に繋がった様だ。早目に事情を告知し、運転再開に一定時間を要する事を誠実に説明すれば、利用客の理解は得られたと思う。その上で、列車内に閉じ込められた乗客の救出を急ぐのが筋だったのではないか。もし、救出が不可能と言うなら、各列車の補助電力装置を強化し、スタックの時も、一定時間は空調やトイレなどの設備が生かせる構造に改良すべきではないか。
今月の、拙ブログは以上です。