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一映画ファンの自分にとって、
見る価値のある映画、見て良かったと思える映画とは、
どんな映画なのか?
そもそも自分にとって、
映画を見るということは、どんな意味を持った行為なのか?
この映画は改めて考えさせてくれた作品だった。
ひとことで言えばこの作品は、
私にとっていつまでも記憶に残る1本だと思う。
私の心に、けっして小さくはない波紋を描いた。
さまざまなことを想起させてくれたのだ。
いろいろ、ホント、考えちゃったな。
兄弟姉妹のこと。両親のこと。それらをひっくるめた家族のこと。
愛する人のこと。それ以外の人々のこと。
現在の暮らし。故郷。そして故郷に置いて来たもの。
故郷に残った人。故郷を捨て都会へ出た人。それぞれの思い。
~都会で成功を勝ち得た人。そうでなかった人。
失意のうちに故郷に戻った人。戻るに戻れない人。
一旦戻ったものの、都会暮らしに未練たらたらの人。
諦めたフリをして、秘かに捲土重来を期す人。
過去をいつまでも引きずって前に進めない人。
過去を振り返らずに(忘れようと必死にあがきながら?)
今を生きる人。前に突き進む人。
心に無理矢理蓋をし本当の思いを隠して、
与えられた宿命のままに生きる人。
周囲の思いを一顧だにせずに、自分の思うがままに生きる人
(現代のカインとアベルの物語と言えなくもない)。
相反する者同士のギャップの痛々しさが胸に突き刺さった。
本作は誰が正しくて誰が悪い、と裁くことはしていない。
人はどう生きるか、自ら選択した時点で、
その責を自ら負うものだから…
自ら撒いた種から育った収穫物は、
自ら刈り取るものなのだから…
そうした人生の掟(在りよう?)が、饒舌な言葉ではなく、
俳優陣の真に迫る演技と行間を感じさせる映像によって
能弁に語られている。
結末も余韻を残して、見る者に委ねられている。
作品を手がかりに、自分の中で想像が豊かに広がるのを感じた。
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それにしても、この作品を世に送り出した西川美和(監督・脚本)
をはじめとする制作陣と、オダギリジョー、香川照之、他多彩な
俳優陣の仕事は素晴らしい。
こんな見事なアンサンブル、滅多に出会えるものじゃない。
ミニシアターと言わず、多くの映画館で公開され、
できるだけ多くの映画ファンの目に触れて欲しいな。