Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

寿命100歳

2006-03-10 | 想い・雑感
 米国スタンフォード大学の生物学教授が、先進国の寿命は2030年頃までに100歳になるとの予測を示したそうです。

 悪性腫瘍に対する治療やアンチ・エージングに対する研究が現在のペースで進めば、そうなるとの予測です。

 このような先進医療の恩恵を受けることができる国は、いわゆる先進国であり、命においても南北格差が出てくる可能性が高いようです。日本は、先進国に入るのでしょうが、福祉や医療に対するセーフティーネットがどんどん縮小している現在の政策では、国内においても命の格差は広がっていくような気がします。また、日本は先進国の中で唯一HIV感染が広がっている国といわれており、これも寿命に影響しそうです。

 逆に、先進国での問題は肥満をはじめとする、生活習慣病です。この悪化により先進国での寿命が短縮するとの予測もあるようです。どちらにしても、人は皆死んでいくわけですが。

 病気もさることながら、国民の寿命を大きくかえる因子として戦争があります。日本も戦争中は多くの若者が命を落とし、平均寿命は下がったはずです。米国の寿命が延びても、イラクの寿命は短くなっていると思いませんか。

 多くのお金をつぎ込み、病気と闘い寿命を延ばす。
 多くのお金をつぎ込み、相手を押さえ込み、相手の寿命を縮める。
 皮肉なお金の使い方。

ロボット

2006-03-09 | 想い・雑感
 ホンダが二足歩行ロボットを開発して以来、身近なロボットの話題がよく出てくる。鉄腕アトムや鉄人28号などを見て育ったものとしては、ロボットには多少の親しみを感じる。最近では掃除をしたり、見張り役をしたりと生活により身近なロボットも開発されてきている。介護用ロボットもいろいろ工夫されてきているようだ。近い将来生活の隅々まで、ロボット技術が入っていくことだろう。そして多くの面で人の生活を支えてくれることだろう。

 日本のメディアでは、このような人に優しいロボットの話題しかほとんど出てこないが、アメリカをはじめ多くの国では、このロボット技術が軍事に使われている。危険地帯で地雷などを見つけ出し処理するロボット。野に放てば、人を見つけ出し銃を発射するロボット。

 ロボットを使用する側にとっては、兵士の命を守るものかもしれないが、相手の命は容赦なく奪う。何ともいやな構図である。ロボットはプログラム通り動くわけだから、条件が合えば迷い無く人命を奪うことだろう。

 ロボット技術。どう生かすかは人間次第。

早期胃癌でも少し心配

2006-03-08 | 医療・病気・いのち
 早期胃癌の人でも微妙に進行度が違う(Stage IA, Stage IB)が、全体としては9割くらいの方が治療により根治する。つまり5年生存率(5年間生き残った方の割合)が90%くらいということになる。逆に言うと1割くらいの方が再発する。

 早期癌の方も術後5年間は、定期的に検査をする。エコー、CT、内視鏡、血液検査、便検査、尿検査などを組み合わせて、いろいろな角度から、術後の変化を見ていく。

 「早期のものでしたから、あまり心配はいりませんよ。」と言いながら、5年間は3~6ヶ月毎に顔を出して頂くわけだから、ちょっとは心配であることを如実に語ってしまっている。

 5年経過時に、総合検査をして再発を認めなければ、やっと心からおめでとうございますと言える。人間の体のことだから絶対と言うことは言えないのだが、まず完治したと考えられる。

 しかし、10年経って再発した報告もあるし、何よりも胃癌になった方が、他の癌にならないという保証はない。逆に胃癌になった方はそうでない方より他の癌になる可能性が若干高いのである。そこで「1年に1回は癌検診を受けてください。」とお願いして、胃癌術後の定期検診を終了する。

半減期

2006-03-07 | 想い・雑感
 高校か中学の授業で、放射性元素の半減期という言葉を習った。放射性元素は放射線を出しながら別の安定な元素になったいくと言うことだが、全体の半分がそうなるのにかかる時間が、半減期だったと記憶している。何となく聞いていたが、やたらと長いその時間に驚いたのを覚えている。

 「チェルノブイリ事故20年、放射線なお許容の90倍」というタイトルの新聞記事を見かけたが、半減期を考えたら、20年程度の年月はほとんど意味をなさないだろう。この事故で放出された放射性物質は、広島型原子爆弾の500発分といわれ、放射性物質の内、プルトニウムの半減期は、2万4000年にも及ぶという。

 というところで、テレビから、【四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)で予定されているプルサーマル計画の実施について、原子力安全委員会の原子炉安全専門審査会は、「安全性は確保できる」として了承した。】とのニュースが流れてきた。これはプルトニウムとウランとを元に行うもののようだ。

 プルトニウムは「地獄の神」(プルート)から命名されているようで、人類が作り出した最悪の物質の一つとも言われている。強い放射能を持ち、非常に毒性が強く、原爆の材料にもなるものである。

 それを利用する計画について、安全を確保できるという確信はどこから来るのだろうか。もしもの時、2万4千年以上にわたり害を及ぼし続ける可能性については、どう考えるのだろうか。

術中管理

2006-03-06 | 想い・雑感
 安全に手術を進めるためには、外科医だけがいればよいわけではありません。
 麻酔科医が、十分痛みと意識を取って、患者さんに苦しみを与えることなく手術が出来るようにしてくれます。
 手術を進める上で必要な器具を、すぐに出してくれる看護師がいます。
 急に必要になった道具を取りに行ってくれる看護師がいます。
 手術中に必要になる検査のために、採血した血液や、取り出した組織を持って行ってくれる人がいます。
 検査科の人がいます。病理検査をしてくれる医師がいます。レントゲンを撮ってくれる技師がいます。輸血のための血液を運んでくれる人がいます。考えていくとまだまだ多くの人の支えがあって、初めて手術という治療が成り立っているのです。
 その多くの人が関わる場で、安全を確保するためにはシステムの構築が必要であり、それぞれの病院で作っています。でもたの分野とと同様、そのシステムをすり抜けて、事故が起こることがあります。そのときすぐに大事故にならないように手を打つことが必要です。

 患者体内に30センチのヘラを置き忘れた事故が報道されました。
 報道から推測すると、その病院でもこういうことが起こらないような決め事があったようですが、看護師の思いこみから、見逃してしまったとのことです。
 この、人の思いこみや勘違いを防ぐシステムを、どう構築していけばいいのか。それがどの分野でも強く求められていることなのでしょう。

白衣の競売

2006-03-05 | 想い・雑感
 都立病院で使用されている医師用などの白衣がネット競売に出品されていたらしいです。都のシンボルである緑のイチョウの図柄などがあることから本物と判断された模様です。ネットオークションはほとんど何でも出品可能な環境にあるのかもしれませんが、ちょっと意外です。

 出品したのは誰なのだろう。それを出品しようという発想はどこから出てくるのか。もし買う人がいれば、その人はなぜ手に入れたいのだろう。

 白衣などというのは、どこでも手に入るものですが、今回の白衣が通常と違うとしたら、都立病院の白衣であることを示す図柄があしらわれていることくらいでしょう。ちなみに私がこれまで赴任してきた病院は、大学病院、国立病院(国立病院機構)も含め、白衣は普通に流通している白衣でしたが、何の不都合もありませんでした。都立病院も都のマークを白衣に入れなければ、費用も安くなるし、白衣に対する付加価値も無くなりオークションに出される心配も減るのではないでしょうか。

流氷ダイビング!?

2006-03-05 | 想い・雑感
 以前スキューバダイビングにはまり、沖縄に出かけたりしていた。水中でリラックス出来るようになるのは少し慣れてからであった。最初は緊張から、体中に無駄な力が入っているせいか、水から上がるとぐったりしていた。

 体にかかる水圧、手を出してはいけない生物、器材の整備、呼吸の仕方、潮流の力、水温の変化、限られた視界、などなど日常と大きく異なる環境に身を置くダイビング。なめてかかれるものではないという実感だった。

 ダイビングの流氷ツアーというものがあるらしく、そのツアーで死亡者がでたニュースが報道されていた。流氷が無かったため、通常のダイビングをしていたらしいが、水温はずいぶんと低いに違いない。温かい海でも体温は奪われていくわけだから、当然ドライスーツを身につけていたのであろうが、初心者が参加していいような気はしない。

 ツアーの参加資格はどのように決めていたのか。
 ツアー客に対しインストラクター何人で対応していたのか。
 緊急事態時の対処方法は決められていたのか。
 担当者は基本的心肺蘇生法を知っており、それを施したのか。
 無くなった方の持病はなかったのか。
 これまで事故は無かったのか。

 など気になることがある。

 テレビの映像などで流氷下の映像を見て、その神秘的世界に惹かれて、そういうツアーに参加するのであろう。しかし、ダイビングを甘く見ない方が良いし、体が急激な変化を好まないことを知っておいた方がよい。

 生命保険会社は、スキューバダイビングのリスクをよく知っていて、それを保険内容や保険料に反映させているはずである。

高校スポーツ

2006-03-04 | 想い・雑感
 競技としてのスポーツには、勝つことが求められる。ルールの元での戦いなのであるから、当然とも言える。オリンピックも、参加することに意義があるといいいながらやはり勝つことが求められる。プロスポーツは言わずもがな。

 ところが高校スポーツはちょっと特殊。教育という面と、勝つことが第一義という面とに捻れを生じる。強豪といわれる私立高校は県を超えた広い範囲から生徒を集めていることから見ても、勝つことを目標としているのは明らかなのに、何かあると教育論に持っていかれる。

 高校野球の場合、この捻れを強めているのが、高校野球連盟のような気がする。実態が今ひとつ分からないこの団体は、高校球児とプロ野球選手との交流をつい最近まで長いこと妨げてきた。少年野球教室で、小学生や中学生ならプロ選手と接触可能なのに、高校球児になると接触不可とする状況にどんな理由をこじつけてきたのだろうか。

 北海道苫小牧高校の選抜辞退。飲酒喫煙をし、法律というルールを破った卒業生は罰を受ける必要があるのかもしれないが、選抜を勝ち取った現1,2年生がその責任を負わされる必要があるのだろうか。またその卒業生にしても出場辞退という重い現実を、生涯背負っていかされるほどの罰をうける必要があるのだろうか。そこまで求めるならば、喫煙をする高校生を見つけられたら、その高校の校長は辞職するべきだろう。

 また、高校の名を上げるために強豪校にしてくれと依頼された監督はチームを強くすることが任務となる。監督はそのためにいろいろ工夫をするのに精一杯であろうから、教育面は親と教師が主として担当するのが筋であろう。球児である前に高校生であり子供なのだ。その生徒が不祥事を起こしたことに本人以外の誰かが責任を取るとすれば、監督でなく校長であろうし、さらには親であろう。

 やはり高校野球におけるこの捻れた責任の取り方は、教育機関なのかスポーツ推進機関なのかよく分からない、高校野球連盟に源を発するような気がする。

「PET」 新しいものがいいのか

2006-03-03 | 想い・雑感
 外国で認可になっているが日本ではなっておらず手に入りにくい抗癌剤などがあると、個人輸入までするひとがいる。藁にもすがるという気持ちは痛いほど分かるが、必ずしも効果があるとは限らない。また新薬と言われると飛びつく場合もあるが、ご同様。比較的最近、大腸癌に対する抗癌剤として日本でも認可になった薬があったが、当然効く人もいれば効かない人もいる。有効率はこれまでの治療と大差はなさそうである。この薬も認可前に私費で使用した人は少なくなかったらしい。しかし新しいものがいいとは限らないのは世の常である。

 比較的新しい検査法としてPETがある。癌細胞が正常細胞より多くのブドウ糖をエネルギー源として取り込むことを利用して、癌細胞のある場所を見つけ出すというものである。一回の検査で全身が検査できるところがうりの一つである。

 しかし実際の画像を見ると、これで本当に早期の癌が見つかるのか。胃癌や、大腸癌のうち、内視鏡だけで治療がすむような本当に早期の癌が見つかるのかという疑問を強く持っていた。

 「PETを受けて異常が無かったから安心。」といっている人がいたが、そう思わせているとしたら、そのPET検診を行った施設は大きな責任があると思う。PETで分かる異常が無かっただけなのだということをきちっと説明する必要がある。

 このたびがんセンターの調査で、PET検診をしても、がんの85%を見落としている可能性が指摘された。がんセンターなので他の検査での発見能力が高いため、PETにとっては通常より若干きついデータとなっている可能性はあるが、PETが得意とするといわれている、甲状腺癌なども含めてのデータであり、PETが決して完全な検査では無いことは明らかである。

 私は、現時点でのPETは早期癌検診に利用するのではなく、1)ある程度の大きさの癌の有無を調べる、2)再発の有無を調べる、というあたりで利用するのが良いのではないかと思っている。

あと一年お願いします…

2006-03-02 | 医療・病気・いのち
 約2年半前、胃癌に対して胃全摘をした患者さんがおられる。

 リンパ節転移が多かったので再発は必至と考え、術後に抗癌剤を使用していた。
術後3ヶ月毎の検査でも、特に再発の兆候が無く、1年が過ぎた。ひょっとしたら行けるか、と思った矢先、腫瘍マーカーが上昇しはじめた。直ちに抗癌剤の使用方法を変更し、マーカーは一時的に減少傾向となったが、再度上昇に転じた。

 しかし、CTその他の画像診断では、明らかな再発巣は見つからない。こういう場合、ほとんどが、腹膜再発である。胃癌の再発形式としては、最も頻度が高いが、治療も極めて困難なものである。

 その後も手を変え品を変え、全身化学療法を行っていたが、術後2年目に入り、右の胸に水が溜まりはじめた。胸水のため肺が圧迫され、息苦しさが出現して来た。そこで胸水を抜くとともに胸腔内にも抗癌剤を入れたところ、胸水の貯留傾向は一応止まった。

 2年6ヶ月が経過し、現在の抗癌剤治療方法は、6種類目。腫瘍マーカーは今のところ減少傾向だし、体調も何とか維持している。

 その方の息子さんは、今年の春から高校3年生。母親としては、大学合格を見届けたいところなのは痛いほど分かる。でも、「何とか後1年持たしてください。」と頼まれても、きびしいなあ。最善は尽くすけど。

大腸癌検診

2006-03-01 | 想い・雑感
 食生活の欧米化や、肥満の増加に伴い日本における大腸癌死亡率は上昇してきている。男性では肺ガン、胃癌、肝臓癌、大腸癌の順であり、女性では大腸癌が第1位である。

 大腸癌の一次検診として多く採用されているのは、便潜血検査である。便を極少量提出し、中に血が混じっていないかどうか検査するもので、かなりの感度である。この検査を行うことにより最大76%の死亡率減少効果が報告されているそうだが、市町村が実施する検診では、受診率は20%もいっていないようである。モッタイナイ話しである。

 そしてこのたび、「一次検査で引っかかった人は内視鏡による検査を第一選択とする。」との報告書が厚生労働省の検討会でまとめられた。しかし、一次検査で引っかかった人の6割程度の人しか精密検査を受けていないそうである。のこる4割の人はせっかく侵襲の少ない治療で完治する可能性を、捨てている可能性がある。

 癌といっても、転移を起こしていない早い時期のものであれば、高い確率で治癒するのである。40歳を過ぎたら、ぜひ検診を受けて頂きたい。自分の身を守るために。