北海道のキュウロクを語る上で忘れてならないのは 常紋越えと呼ばれる急勾配を 前や後にキュウロクを従え上る D
51牽引の貨物列車でしょう。
前補機キュウロクと組んで重連で常紋峠を超える貨物列車です。
1970年5月00日撮影 石北本線 生田原~常紋(信) 前補機9600形(69620)本務機D51 下り貨物列車
生田原から常紋信号所に続く急で長い上り坂を 細い沢に沿って2輌の蒸気機関車が引っ張り上げるのですが 時には遠
く時には近く谷間に響くドラフト音を聞いていると 急勾配との格闘の様子が目に見える様でした。
今か今かと待っていると山影から煙が見え始め やがて谷を埋め尽くすような猛煙に包まれた2輌の蒸気機関車が姿を見
せました。
此処ぞと思う所でシャッターを切り 後は一歩一歩踏みしめて歩を進める貨物列車の通過をノンビリ眺めていましたが 突
然目の前でキュウロクが空転を始めました それを支える様に踏ん張るデゴイチも 負荷に耐え切れずに続いて空転 然し
態勢を立て直したキュウロクに続いて 本務機デゴイチも態勢を立て直し 暫くすると何事も無かった様に 合図の汽笛を残
し常紋トンネルに吸い込まれて行きました 列車を待つ間長い静寂が流れていましたが どれだけ続いたのだろうかあれだ
け続いていたドラフト音も 常紋トンネルに入る汽笛の合図を最後に途切れ 辺りは静寂に包まれていました。
常紋峠の訪問はこの一度だけですが 当時信号所と言え客扱いをしていたので 冬でも楽々行けたのですが 当時の北
海道には スワローエンゼルと呼ばれたスーパースターや 宗谷本線のC55など他にも被写体が豊富で C形機関車の魅
力には敵いませんでした。