3月9日、NKHテレビで国会中継(参議院予算委員会)を見ていたら、この日の質問者のしんがりを務めた共産党の田村智子氏が、これから私はコロナウイルスと桜を見る会の2点について質問をするが、質問の途中でこの中継が切れるので、切れた部分は夜の録画放送で見ていただきたい、と発言した。田村議員の質問は午後4時半を回ったあたりで始まり、午後5時には予定通り中継が打ち切られた。
NHKの国会中継ではいつものことである。
野党と政府の言論バトルである国会中継が午後5時で打ち切られ、短いニュースの時間をはさんで放送されたのは観衆のいない大阪府立体育会館からの肉弾相打つ大相撲春場所中継だった。人の気配がないがらんとした会場では土俵にあがる力士も力が入らないだろう。
こんなことになったのも、安倍首相のイベント自粛・学校休校の「お願い」が出たためだ。そのお願いの根拠は疫学専門家のお勧めというよりは、安倍氏とその周辺の政局易学専門家の判断だと、いくつかの新聞が報じている。
青森・岩手・山形・富山・福井・島根・鳥取・香川・香川・徳島・長崎・佐賀・鹿児島では感染者の報告がゼロである(3月9日、厚生労働省)。
森友・加計・桜を見る会とその前夜祭・黒川検事長定年延長と、一連の疑わしいふるまいで剣が峰に立たされた安倍政権へのカンフル剤として、イベント自粛・学校休校の事実上の号令を演出したのだろう。
この日本国首相とその周辺はとっさのヒラメキで物事を決めてしまう癖がある。黒川検事長の定年延長も関連する法令や過去の国会審議の検討を抜きにして「ためらうことなく」決断したフシがある。そのせいで、3月6日の参院予算員会では黒川氏定年延長の法的根拠・手続きの正当性を追求されて、森まさこ法相は個別の案件についてはコメントを避けると36回も(朝日新聞)繰り返さざるを得なかった。桜を見る会も桜を見る会前夜祭の問題でも安倍首相本人が、反証を示さないで逃げ回った。
NHKが3月9日に伝えた世論調査では、安倍内閣の支持率は43パーセント、不支持率が41パーセント。統計の有意差を考えると、支持と不支持が40パーセント台前半で拮抗したと考えるのが妥当だろう。支持不支持がどっこいどっこいの、その調査で、内閣を支持する理由を聞くとトップが「ほかの内閣よりよさそうだから」、不支持の理由のトップは「首相の人柄が信用できない」だった。
(2020.3.9 花崎泰雄)
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