老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1362;歌を忘れたカナリア

2020-01-17 12:59:23 | 老いびとの聲
歌を忘れたカナリア {2}

歌を忘れたカナリア

言葉を忘れたひとり暮らし老人
 テレビを観ても画面が流れゆくだけ
 息子は、「声を出しながら新聞を読むとよい」
 新聞の文字は小さく読みずらいし、つまらない

 ケアマネジャーは、図書館で絵本を借りて、読むといいかも 
 文字は大きいし、一冊を読み切るので負担にならない
 声を出さないと言葉を忘れてしまう

 仏壇に向かい 亡き夫に話しかける老妻
 亡くなっても妻に話しかけらる夫は幸せ者 

居酒屋で仲間と飲み
 いざ支払いになると「お手洗いに行ってくる」、と言って
 その場を離れ 支払いを忘れたふりをするケチな男がいた

躓きの過去を忘れたいと思うも
 浮草の如し嫌な過去は水面に浮かび思い出す
 
忘れたことを忘れた老人
 忘れることは増えても感情まではなくしてはいない


  

1361;その手を使う

2020-01-17 04:43:06 | 介護の深淵
春を待つ南湖桜

その手を使う

手を使うことで、ヒトは人になった

哺乳類動物のなかで
人間が秀でた理由(わけ)は、
直立歩行をしたことによる。

直立歩行したことで、両手が自由に使うことができ
ものを作りだしてきた。

ひ弱な人間は、
石と棒(木)を拾い、それを紐で縛り
金槌や槍のような物を作り
最初はそのような物を使い狩猟をしてきた。

弓を作ったことで槍の威力は更に増してきた。
また獣を肉を貯蔵保存する一つとして土器も作ってきた。

人間は手を使ってきたことで
脳細胞(頭)の働きもよくなり、賢くなってきた。


麻痺した手の指を動かしてみる

脳卒中により手足が不自由になり
手が思うように動かなくなってきたとき
人は家族や介護者に依存的になってしまいがちになる。

退院のとき左手の指は、グチョキパーの「グ」の状態にあった。
右手の指を使い、左手の指を伸ばしたりして拘縮しないよう自分で指のリハビリができる。
麻痺した指を屈伸することは痛みを伴う。
本人が「痛がる」と、家族、介護者は可哀そうになり、麻痺側の指の運動はやめてしまう。


使いないものはますます退化し縮む

麻痺側の左手の指は、拘縮が増し指は握りしめた状態になる。
使わない手は物に触れないから「きれいな手」だと思ってしまう。
手は使わなくても、拘縮した手指の内側は汗や空気により湿気を伴い汚れている。
そのままにしておくと手指の内側は赤くミミズ腫れとなり、嗅ぐと嫌な臭いがする。
ますます痛くなり、手指を洗うことさえも抵抗し嫌がる。

だからこそ麻痺した手指の何気ない運動(リハビリ)が大切になってくる。

麻痺した手指は細かい動作ができなくても、
麻痺した手指を使い食器を動かないよう抑えることができるようになると
食器は動かなくなり右の手指は、楽に食事をすることができる。

物が動かないように左手指で押さえることができる、と
自分で「できる」ことも増えてくる。

麻痺した手指でも訓練してみる
「その手を使ってみる」