1625 はらだみずき 『海が見える家』 小学館文庫
山に囲まれた処で生まれ育った自分
いまも山村に棲み暮らしている
老いの晩年は”海が見える家”で
大きな窓から朝から晩まで 海を眺め過ごしたい、と夢見ている。
『海が見える家』は、
大学を卒業して就職した会社が
ブラック企業であることがわかり
一ヶ月で辞めた直後に
届いた父の訃報。
父が住んでいた南房総の家は
海が見える家であった。
自分の夢と重ね合わせ、この文庫本を手にした。
「幸せとは何か」を静かに考えさえてくれた。
お金では買えない「幸せ」
「モノ」に囲まれた暮らしは、一見「幸せ」に映るが
実はそうではない
『自分の人生がおもしろくないなら、なぜおもしろくしようとしないのか。
他人にどんなに評価されようが、自分で納得していない人生なんてまったく
意味がない』(はらだみずき 『海が見える家』 小学館文庫 305頁)
「私の亡くなった夫は医者で、引退前は高齢者の終末医療に関わっていてね。
亡くなる前の患者さんからいろんな話を聞いたそうです。長く生きたにも
かかわらず、多くの人が自分の人生に対して悔いていた。彼らの多くが口に
したのは、『もっと自分自身に正直に生きればよかった』という言葉。その言葉に
尽きるのだと言ってました。(前掲書 306頁)
自分も老いに入り
13歳から67歳までの人生を振り返り
後悔だらけで何も「無い」
残りの人生は何年「有る(在る)」か,わからないけれど
最後の章(人生の最終章)だけでも
「悔いのない時間」を生きていきたい
しかし、鶏と同じで「さんぽ」歩いたら忘れてしまう自分
後悔と反省が上手な自分だが
最期に見る風景が「海であったらいいな」、と思う。