老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

外の風を入れたい

2020-08-18 17:52:41 | 老いの光影 第6章 「老い」と「生い」
外の風を部屋のなかに入れる

1634 外の風を入れる

94歳になるひとり暮らしをしている老女がいる
30度を超える暑い日が続いている
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は死語になりつつある
人間だけでなく地球までもが病み
河川氾濫 猛暑 森林火災など人為災害が多発している

老女は暑いので冷房をかけているのだが
なぜか部屋の掃き出し窓は全開なのだ
老女に「窓を閉めないとエアコンが効かないよ」、と声をかけた。
そしたら、老女は「外の風も入れたいから」と話す。
「なるほど」、と思いながらも返す言葉が・・・・・。
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老師と少年 ❶ ~死ぬとは何か、ぼくがいなくなる~

2020-08-18 04:08:04 | 老人と子ども
1633 老師と少年 ❶  
~死ぬとは何か、ぼくがいなくなる~

興味深く、面白い文庫本に出合った。
南 直哉さんの『老師と少年』新潮文庫 である。

九夜にわたる問答を通して、命の苦しみ、尊さが語られる。

前夜

当たり前のだと考えていることが、実はわからないこと・・・。

少年はひとりで路を歩き、突然、ぼくはいつか死ぬんだと、わかったのです。
「ぼくは死ぬ。でも、ぼくが死ぬとはどういうことか? 
このぼくがいなくなる。今いなくなると考えている。このぼくがいなくなる。
死ぬぼくもいなくなる。なのに死ぬ。死ぬ」
(前掲書9頁)

「死ぬことを考えているぼくが死ぬ。
ああ、ぼくは本当に今生きているといえるのか。
ぼくはどこにいるのだろう。ぼくは今本当にぼくなのか。・・・・
死ぬことも、ぼくがぼくであることも、わからなくなってしまったのです」
(前掲書9頁)

老師:「大人であることに疲れるときもある。
偶然が身の周りのすべてを壊していくこともある。
日々、我々は病み、老いていく。そして誰もが、
人はただひとりで死んでゆくことに気づくのだ」
(前掲書13頁)

大人は「人間は死ぬ」ことをわかっていながら、
子どもには「死ぬとは何か」を答えずに、死んだ後のことを話す。
人間は死んだら「天国に行くの」「遠い世界に行くの」「星になるの」、と大人は答えるが、
少年が本当に聞きたいことは違う!

死ぬとは何か?
自分がいなくなる。消えてしまう。
それはどういうことなのか。

吉野源三郎さんの『 君たちはどう生きるか』(岩波文庫)に登場する聡明な少年 コペル君(本田潤一君)を想い出した。

自分の中学生のとき、「死ぬとは何か」等と考え悩んだことはなかった。
いま老いた身になり、「誰もが、人はただひとりで死んでゆくこと」に気づいた。

残りの八夜、老師と少年の会話(問答)のどうなるのか、楽しみである。

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