夕暮れどきから暗闇前の阿武隈川 空はなぜか”明るい”
1651 老師と少年 ➒ ~生きる意味より死なない工夫~
後夜
老師はまた旅に出て、庵にはいなかった。
「大切なのは答えではなく、答えがわからなくてもやっていけることだと、
彼はどこかで感じたのだ」(112頁)
「やっていく方法は自分で見つけるしかない」(112頁)
「生きる意味より死なない工夫だ」(112頁)
最後、少年に残したこれらの言葉は、”自分で考えて、自分自身が決めることだ”。
若い頃は世の中の矛盾のせいにし、齢を重ねるにつれ流され生きてきた自分。
結果や答えを求めてしまいがちであり、答えが出ない、とそこで諦めてしまう。
「答えがわからなくてもやっていける」ような自分の器を作っていけるかどうか。
老いに入ると 老親や友人の死に遭遇し 大切な人がいなくなり 「死」を考えざるを得なくなる。
その自分も死ぬ。
自分は 今本当に生きている、といえるのか。
それでも「人は自ら死ぬべきではない」
「生きることが死ぬことよりはるかに辛いことだとわかっていても、
自ら死ぬべきではなない」(19頁~20頁)
人は、死ではなく生きていくことを選んでいく。
※ 九話にわたり『老師と少年』の話に
お付き合いいただきありがとうございました。