『人は華 花は莟ぞ 若人よ』
(ひとははな はなはつぼみぞ わこうどよ)
『冴え返り 窓より射す陽 うす寒き』
(さえかえり まどよりさすひ うすさむき)
『夢の中 何を卒業 土筆生う』
(ゆめのなか なにをそつぎょう つくしはう)
『春の夢 妹の夢見て 枕濡る』
(はるのゆめ いものゆめみて まくらぬる)
『冴え返り 今宵も酒の 欲しきもの』
(さえかえり こよいもさけの ほしきもの)
『春うらら 頓智話を 思い出し』
(はるうらら とんちばなしを おもいだし)
『貧乏や 金は浮世の 逃げ水よ』
(びんぼうや かねはうきよの にげみずよ)
『春の風 どこでも死ねる 虫になる』
(はるのかぜ どこでもしねる むしになる)
『春の石 鳥居の上に 幾つある』
(はるのいし とりいのうえに いくつある)
『石蹴りの 線引く妹に 春の陽の』
(いしけりの せんひくいもに はるのひの)
『チャングムの 歌に聞き入る 春の午後』
(ちゃんぐむの うたにききいる はるのごご)
『春の午後 立ち飲み一杯 ここ十三』
(はるのごご たちのみいっぱい ここじゅうそう)
『春の花 花よ花よも 今だけよ』
(はるのはな はなよはなよも いまだけよ)
『空の下 草に寝てみりゃ 風光る』
(そらのした くさにねてみりゃ かぜひかる)
『白梅に 文を結びて 君偲ぶ』
(しらうめに ふみをむすびて きみしのぶ)
『君の名を 春の小川に 指で書く』
(きみのなを はるのおがわに ゆびでかく)
『春の戀 たゆとう波に 揺れ流る』
(はるのこい たゆとうなみに ゆれながる)
『夢見月 ゆめのようなる 夢を見る』
(ゆめみづき ゆめのようなる ゆめをみる)
『猫柳 蕾と花の 二度の味』
(ねこやなぎ つぼみとはなの にどのあじ)