『その名前 みやこわすれと 憶えしが』
(そのなまえ みやこわすれと おぼえしが)
『ぽぽと咲く 蒲公英の絮 さあ飛ばそ』
(ぽぽとさく たんぽぽのわた さあとばそ)
『鳥は鳴き 花は咲けども 人は何故』
(とりはなき はなはさけども ひとはなぜ)
『涙溜め すももの花の 白く咲く』
(なみだため すもものはなの しろくさく)
『夢見月 心映して 鳥の啼く』
(ゆめみづき こころうつして とりのなく)
『佇めば 岸辺の花菜 近くあり』
(たたずめば きしべのはなな ちかくあり)
『待ち兼ねし 岸辺の桜 二分三分』
(まちかねし きしべのさくら にぶさんぶ)
『陽が射せば 満開の花 影を生む』
(ひがさせば まんかいのはな かげをうむ)
『見上げれば 何があるかや 鴉の巣』
(みあげれば なにがあるかや からすのす)
『嘴に 針金銜え 春鴉』
(くちばしに はりがねくわえ はるがらす)
『土手あたり 固まりて咲く 木瓜の花 』
(どてあたり かたまりてさく ぼけのはな)
『手水舎に 心洗いて 春社』
(てみずやに こころあらいて はるやしろ)
『春高く 空を仰げば 目眩する』
(はるたかく そらをあおげば めまいする)
『花菜雨 彩り軽く 足軽く』
(はななあめ いろどりかるく あしかるく)