『春の月 上弦の月 身に近く』
(はるのつき じょうげんのつき みにちかく)
『春の月 おぼろ月なり 身半分』
(はるのつき おぼろづきなり みはんぶん)
『北の国 雛の桜は まだ七つ』
(きたのくに ひなのさくらは まだななつ)
『いつするか 花見の季節 蕾見る』
(いつするか はなみのきせつ つぼみみる)
『春の風 小川の水は とろとろと』
(はるのかぜ おがわのみずは とろとろと)
『百千鳥 集う小川に 風通る』
(ももちどり つどうおがわに かぜとおる)
『岸辺沿い 蒲公英の絮 風に乗る』
(きしべぞい たんぽぽのわた かぜにのる)
『春や春 遠き昔と 言う勿れ』
(はるやはる とおきむかしと いうなかれ)
『勿忘草 忘れたくない 戀もあり』
(わすれなぐさ わすれたくない こいもあり)
『妹居ずば 姥の桜の 花見かな』
(いもいずば うばのさくらの はなみかな)
『誰とする この世の花見 朋の減り』
(だれとする このよのはなみ とものへり)
『枝垂れ寄る 桜の花に 色香あり』
(しだれよる さくらのはなに いろかあり)
『見返れば 桜並木に 護美の山』
(みかえれば さくらなみきに ごみのやま)
『春服が 着服に見えし 年となり』
(はるふくが ちゃくふくにみえし としとなり)
『春眠 一刻辺り 真っ暗暗』
(しゅんみん いっこくあたり まっくらくら)
『菜の花や 苦りを感じ 唾を呑む』
(なのはなや にがりをかんじ つばをのむ)
『いつ開く 桜三月 夢四月』
(いつひらく さくらさんがつ ゆめしがつ)
『天災は 勿忘草と 世も微塵』
(てんさいは わすれなぐさと よもみじん)
『桃咲くや 太宰の都 花盛り』
(ももさくや だざいのみやこ はなざかり)
『桃咲けど 近くて遠き 太宰なり』
(ももさけど ちかくてとおき だざいなり)
『春泥や 好んで入る 人も居て』
(しゅんでいや このんではいる ひともいて)
『春愁や 秋を外せば 春心』
(しゅんしゅうや あきをはずせば はるごころ)