『春雷の 遠く千切れて 空煙る』
(しゅんらいの とおくちぎれて そらけぶる)
『うたた寝の 夢の世界や 春うらら』
(うたたねの ゆめのせかいや はるうらら)
『春の夢 三度も見たら 叶うかな』
(はるのゆめ さんどもみたら かなうかな)
『春の戀 せめて夢の間 醒めやらで』
(はるのこい せめてゆめのま さめやらで)
『春なのさ どうせ俺いらは 夢の人』
(はるなのさ どうせおいらは ゆめのひと)
『春の海 戀の破れて 潮境』
(はるのうみ こいのやぶれて しおざかい)
『いつの間の 雀隠れや 鬼の居て』
(いつのまの すずめがくれや おにのいて)
『陽と草と 汗の匂いの 春の戀』
(ひとくさと あせのにおいの はるのこい)
『頬を染め 口ほころぶや 妹の春』
(ほおをそめ くちほころぶや いものはる)
『花が欲し 朝の陽が欲し 愛が欲し』
(はながほし あさのひがほし あいがほし)
『蝌蚪という 名前に反し グロテスク』
(かとという なまえにはんし ぐろてすく)
『春の波 黒潮なれど 色白し』
(はるのなみ くろしおなれど いろしろし)
『波しぶき 酸素補給や 春の海』
(なみしぶき さんそほきゅうや はるのうみ)
『引鴨や 朝空なれば なお寂し』
(ひきがもや あさぞらなれば なおさびし)
『これも春 鳶も輪を描きゃあ 虹も出る』
(これもはる とびもわをかきゃあ にじもでる)
『囀りや 姿を見せて 鳴いとくれ』
(さえずりや すがたをみせて ないとくれ)
『庄下川 桜が咲いたと 嫁自慢』
(しょうげがわ さくらがさいたと よめじまん)
『春陰や 低、高気圧 変わり番』
(しゅんいんや てい、こうきあつ かわりばん)
『高松の 古墳裸に 竹の秋』
(たかまつの こふんはだかに たけのあき)
『これが戀 耐え難く候 春朧』
(これがこい たえがたくそろ はるおぼろ)
『春休み 席暖まる 暇も無く』
(はるやすみ せきあたたまる ひまもなく)
『風そよぐ ふらここ揺れて 君の影』
(かぜそよぐ ふらここゆれて きみのかげ)
『春風は 誰にも優しと 人の言い』
(はるかぜは だれにもやさしと ひとのいい)
『澄みし空 囀り高く 空青く』
(すみしそら さえずりたかく そらあおく)
『春の街 喧騒の中 空白む』
(はるのまち けんそうのなか そらしらむ)
『春を詠む はてなはてなの 多きこと』
(はるをよむ はてなはてなの おおきこと)
『今知れり 本音の聞こゆ 春の闇』
(いましれり ほんねのきこゆ はるのやみ)