Y子ちゃん(中1):
保育園の頃からピアノを始めたY子ちゃん。
もう長い付き合いです。
受験のときに1年ほど休学していたので、正味6年間ぐらいでしょうか。
毎週毎週、「Y子でーす!」と大きな声で元気いっぱいにレッスンに来ていましたが、1年間の休学の後にレッスン復帰したときは、落ち着いた声で「◯◯です」と苗字を言ってきて、「ああ、ついに大人になってしまったんだ
と思ったものです。
中学生になったY子ちゃんですが、大人びてきたところとまだ子どもらしいところが 色とりどりのビーズ玉みたいに混ざり合っているのを感じます。
熱心に練習するところは前とかわらない。
テクニックが向上したし、練習の仕方もうまくなってるところは、大人っぽくなったかな。
でも、曲の表現はまだまだ色気ゼロで、これはまだ子どもだなあ・・・
けれど、彼女なりに少しずついろいろと考えたり感じたりするようになってきたことは、レッスンする私にもいっぱい伝わってきます。
この頃は、レッスンが終わってもすぐには帰ろうとせず、いろんなことを話して行くようになりました。
学校のこと、友だちのこと、部活のこと、その他いろいろね。
ガールズトーク(?)に愉快につき合うんですが、Y子ちゃんとちがって不真面目な先生は、つい「えーっ、そんなこと言われるの。そりゃひどいじゃん。そんなの無視無視無視!」とか
「いいじゃん。そんなのほっといて、好きにやっちゃえば。あとで何か言われたってさ、もうやっちゃったもんはしょうがない。諦めてもらおう」とか 言いたい放題。
Y子ちゃんは、大人らしくない先生のトッピな発言に笑いながら、しみじみ言った。
「すごいね、ボンボン(言葉が)出てくるんだね。うらやましい。Y子は、そんな風に言えないんだもん。思いつかない・・・」
「それは・・・」
私はちょっとビックリして言いました。
「Y子ちゃんが、優しくてきれいな心だからよ。だからイジワルな言葉なんか思いつかないんだよ。いいじゃないの」
「でもね、Y子は」
Y子ちゃんはじれったそうに声を大きくしました。
「それはイヤなの。優しくてきれいな心の人なんてイヤなの。もっといろいろ、言える人になりたいの!」
そうか・・・Y子ちゃん、そろそろ自分のアイデンティティを探し始めたか。
しょうがない。多いに悩みたまえ。
自らの問いに対する答えを探し求めるうちに、あなたの音楽にも色気が出てくるであろう。
パーソナリティーにも鮮やかな彩りが加わってくるであろう。
なーんて、やっぱり私の反応は大人らしくないかもなあ・・・と、ひそかに思うヒバリ先生であった。
保育園の頃からピアノを始めたY子ちゃん。
もう長い付き合いです。
受験のときに1年ほど休学していたので、正味6年間ぐらいでしょうか。
毎週毎週、「Y子でーす!」と大きな声で元気いっぱいにレッスンに来ていましたが、1年間の休学の後にレッスン復帰したときは、落ち着いた声で「◯◯です」と苗字を言ってきて、「ああ、ついに大人になってしまったんだ

中学生になったY子ちゃんですが、大人びてきたところとまだ子どもらしいところが 色とりどりのビーズ玉みたいに混ざり合っているのを感じます。
熱心に練習するところは前とかわらない。
テクニックが向上したし、練習の仕方もうまくなってるところは、大人っぽくなったかな。
でも、曲の表現はまだまだ色気ゼロで、これはまだ子どもだなあ・・・
けれど、彼女なりに少しずついろいろと考えたり感じたりするようになってきたことは、レッスンする私にもいっぱい伝わってきます。
この頃は、レッスンが終わってもすぐには帰ろうとせず、いろんなことを話して行くようになりました。
学校のこと、友だちのこと、部活のこと、その他いろいろね。
ガールズトーク(?)に愉快につき合うんですが、Y子ちゃんとちがって不真面目な先生は、つい「えーっ、そんなこと言われるの。そりゃひどいじゃん。そんなの無視無視無視!」とか
「いいじゃん。そんなのほっといて、好きにやっちゃえば。あとで何か言われたってさ、もうやっちゃったもんはしょうがない。諦めてもらおう」とか 言いたい放題。
Y子ちゃんは、大人らしくない先生のトッピな発言に笑いながら、しみじみ言った。
「すごいね、ボンボン(言葉が)出てくるんだね。うらやましい。Y子は、そんな風に言えないんだもん。思いつかない・・・」
「それは・・・」
私はちょっとビックリして言いました。
「Y子ちゃんが、優しくてきれいな心だからよ。だからイジワルな言葉なんか思いつかないんだよ。いいじゃないの」
「でもね、Y子は」
Y子ちゃんはじれったそうに声を大きくしました。
「それはイヤなの。優しくてきれいな心の人なんてイヤなの。もっといろいろ、言える人になりたいの!」
そうか・・・Y子ちゃん、そろそろ自分のアイデンティティを探し始めたか。
しょうがない。多いに悩みたまえ。
自らの問いに対する答えを探し求めるうちに、あなたの音楽にも色気が出てくるであろう。
パーソナリティーにも鮮やかな彩りが加わってくるであろう。
なーんて、やっぱり私の反応は大人らしくないかもなあ・・・と、ひそかに思うヒバリ先生であった。
