HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

音階練習の秘密♪

2012年06月10日 | 音符・楽譜・テクニック
Tさん(大人):
毎回のレッスン時、最初にやるのは音階練習です。
これまでに、何種類かの長調と短調を練習してきて、今日はホ長調の練習でした。
ホ長調は、ミの音で始まる音階で、途中にファ、ソ、ド、レ、と4つの音に♯がつきます。
音階の練習を始めたころは、単に1オクターブか2オクターブ弾くだけでしたが、今は4オクターブを2往復、プラス最後にカデンツという「王道のハノンスタイル」をとっています。

『音階』・・・つまり鍵盤を、並んでる順番に、それも両手とも同じ音で弾くだけだから一見簡単そうですが。
しかしこれが見るとやるとでは大違い。
『音階』はなかなか奥が深く、やればやるほど その難しさがわかってくる、というシクミになっています。
今日は、Tさんから「音階を弾くとき、なんか動きがぎごちないんですが・・・」と質問がありました。
ほらね?
だんだん、難しさが見えてきたかも?!

4オクターブの音階を 左右たった5本ずつの指で弾くためには、指をくぐらせたりかぶせたり、ひっくり返したりと、大奮闘させて移動させていかなければいけないわけです。
その手の動きが、なんか自分のはぎごちないなあ・・・と、Tさんは思ってるんですよね。
その通り、ベテランのピアニストとビギナーの人を比べると一目瞭然で、両者の動きのなめらかさは大きくちがっていますね。
いったいどこが、そのなめらかさの違いを生んでいるのでしょうか?
ピアノの鍵盤を弾くのは指ですが、その指が理想的な軌跡を描く曲線上をなめらかに走るためには、指先から第一関節、第二関節、第三関節、手首、ひじ、肩、と全部の関節が連携し、なおかつそれに続く全身のスムーズな連携プレーによって初めて生み出されてきます。
そしてそれに加えて、もうひとつの大きな秘密があります。


TVとかで、有名なプロ野球選手や体操選手、フィギュアスケート選手などの動きを、連続写真で分析しているのを見たことがあると思います。
ひとつひとつの写真は、ある瞬間での彼らの理想的なフォームであるわけなので、みんなはその形を見て「なるほど」と思います。
自分の姿を鏡にうつして、同じようなフォームができるように模倣してみる人もいるでしょう。
だけど、点つなぎみたいにプロの瞬間瞬間のフォームを模倣しても、彼らと同じようになめらかな動きができるわけではありません。
なぜなら、彼らは止まってるフォームを並べてるわけじゃない。
常に非常な速度で動きながら、実に自然にフォームを移行していっているのです。
そしてその動きは、止まってる形の連続では絶対に真似できない種類のフォームなのです。

それはね、上手な人の動きというのは、『どの一瞬も、常に「次の動きへのPREPARATION(プレパレーション)」、つまり準備である』ということなんです。
たとえば「ド」と弾いた瞬間、その「ド」は正確に美しく打鍵された「ド」であると同時に、打たれた瞬間次の「レ」へ向かっての跳躍を始めている「ド」なのです。
このPREPARATIONというのは、何事においても 上手と下手を分ける大きな秘密の暗号なので、覚えておいてね。

 ♪ひみつの暗号~ じょうずのパスポート~

これはわたくし、ヒバリの研究と観察の結果ですが、演奏でもスポーツでもダンスでも、上手な人は必ず、素晴らしいPREPARATIONを持っています。
そして残念ながら、これは口で説明されてもすぐには習得できない。
自分の中から湧き出てくるものなので、それを会得するにはやっぱり、何度も何度も練習してみる以外にありません。

やっぱり音階は奥が深い・・・