三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテスト 優秀賞受賞!

あの日、マーラーが。

2016年03月10日 | 読書
あの日、2011年3月11日の夜、
東京のすみだトリフォニーホールでコンサートが開かれた。
演奏されたのはマーラーの交響曲第五番。

この実話をもとに作られた小説が『あの日、マーラーが』。

あの日、マーラーが
藤谷治
朝日新聞出版



こんなときに音楽なんて。娯楽なんて。

そう思いながらも
コンサートを開いた人たちがいて、
演奏した人たちがいて、
聴きに行った人たちがいる。
それぞれの想い、それぞれの事情を抱えて。

あの後、しばらくの間、世の中は“自粛”ムードで覆われた。
多くのイベントが中止あるいは延期されて、
実際に私も依頼されていた演奏がキャンセルになったりもした。
そんな“自粛”ムードに違和感を感じてもいたけれど、
それを口に出せるほど、自分の音楽に確信もなかった。

批評時空間
佐々木敦
新潮社




こちらの著者は、震災の二日後である3月13日に予定されていた
自身の主催イベントを中止し、
同じ日に予定していた、別の劇団のアフタートークへの出演を辞退した。

もしも時間が巻き戻せたとしても、やはり私は同じようにするだろう。それはそうだ。
だが、そもそもタイムマシンは、この世に存在していないし、そして私は今も、泣きたい
ほどに後悔している。



正解はないのだ。
あのときにも。今も。これから先も。

でも、すべては正解なのだ。
私のも。あなたのも。誰のものも。

コメント
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