もう一冊読んだ本の話。
こちらは、福島県いわき市から語られる震災後。
福島は津波被害だけでなく原発事故の影響もあり、
問題はよりいっそう複雑で困難なのだと思う。
そして、よりいっそう”当事者性”が語られることが多い。
よそものにはわからない、安易に口を出すことじゃない、
そういう雰囲気が感じられて躊躇してしまう。
しかし、この本の著者は
”当事者性”で線を引くことで分断を深めてはならないという。
復興とは地域づくりであり、
地域づくりには「ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」が必要なのだと。
もちろん、誰もがそのように考えているわけではないだろう。
でも、そういうふうに考えてもいいんだと思えると、
完全なよそ者である私自身、勇気づけられる。
第三部で紹介されている地域アートの取り組みは
近代以前から続いてきたその土地の歴史と
これから先も続いていく時間とが繋がって見えて
実際に見たわけでもないのに、なんだか興奮してしまった。
アーティストに何ができるのか、みたいな問いは
否定的な響きをもって聞こえることも多く感じてきたけれど、
ちゃんと答えを提示している人たちもいるのだと
感動した、と同時に、私自身の考えの足りなさも思い知らされた。
大きなことは出来なくてもいい、
小さなことをきちんと
きちんと手をかけて心をこめて作りあげていきたい。