自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

セツブンソウの受粉方法(続)

2018-03-02 | 植物

セツブンソウの送受粉は基本的にはまぎれもなく昆虫によって行われる,というのが正解です。予想どおり! 自分の目で目撃確認したので,確かです。「事実は小説より奇なり」といいますが,これから書くことはまさにその例かと思います。

群落で撮影している際,ハエが二種飛来。一種は大きめのもの,二つめは小さなもの。そのうち大きなハエについてはばっちり撮影できました。撮り損なったらたいへん。遠くから写しながら近づきます。「逃げないでおくれ」。祈る気持ちでカメラを持った腕を伸ばします。

どうやらクロバエ科のなかまのよう。このあと,右の花に歩いて移りました。

 

伸びた吻がわずかに見えます。

 

からだの下側が蕊に被さっています。送受粉の瞬間です。

 

このあと,花から花へと移りながら摂食を続けました。

別の個体も撮影できました。蕊に関心があることがはっきりわかります。

 

一つの花で,からだの向きを変えながら丹念に摂食します。

 

一度は視野に2匹入ってきましたから,他にいる可能性もあることから,ハエが頻繁に訪れているのはまちがいありません。もし長い時間があれば,セツブンソウの花と昆虫との深いつながりをさらにつかめるかもしれません。

冷やっとした空気の中,ハエが活動を始め,そのハエの訪れを期待して咲くセツブンソウの戦略に感心,感心。この時期ここではセツブンソウだけが際立つ花であり,その花々が昆虫の視覚と嗅覚とを刺激しているとは! 

自家受粉,あるいは風媒花,そのような受粉方法も活用しているのかもしれませんが,強調し過ぎては本質を見失ってしまいます。気をつけなくちゃ。