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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

深まる秋,羽化したアカタテハ

2014-11-08 | アカタテハ

午後6時。仕事から帰宅。その足で,日課になっているウォーキングに出かけました。近頃は日が短くて,この時間になるともう辺りは暗く,安全上,懐中電灯で足元を照らして歩かなくてはなりません。

アカメガシワの葉に付いたアカタテハの蛹の傍を通るとき,どうなっているか確認。電灯を向けると,なんと,成虫が生まれていたのです。日没頃に羽化したものでしょう,飛び立とうとはしませんでした。それでも,灯りに警戒してか,このチョウを特徴づけている鮮やかな前翅を慌てて開きました。そのとき,赤い紋様がはっきり見えました。 

 
成虫の下側には,生まれた後流れ落ちた体液が線を描いて残っていました。時間が経ったようで,かなり乾いた状態でした。

 
無事に成虫になれたのはなによりです。

翌朝,早朝ウォーキングに出かけました。そのときに,成虫がいるか確認。もちろん,そこにじっとしていました。肌で寒さを感じる朝のこと,からだがまだ温まっていないため動けないのは当然でしょう。葉に落ちた体液はまだ乾ききっていませんでした。誕生の生々しさがすこし伝わってくる風景です。

アカタテハはこの姿が越冬態です。寒さが深まる頃,安全なねぐらを見つけて休眠します。無事にこの個体が春を迎えるように祈っています。 

 


まだこうだから困ります

2014-11-07 | 随想

全国紙A紙の地域版に掲載された一つの記事を見て,「まだこうなのか」と思い,つぎに「やっぱり,こうなんだな」と感じずにはおれませんでした。それは,関係者の問題意識のレベルにかかわることでもあり,報道記者Uさん(署名入り記事)の歴史認識の問題でもあります。

問題の記事は見出しが「古代体験に2万5千人」「播磨町の大中遺跡」とあり,11月2日付けのものです。記事を読むと,国史跡・大中遺跡で「大中遺跡まつり」「全国古代体験フェスティバル」が同時に開催されたということです。フェスティバルは,遺跡内にある県立考古博物館が全国の博物館や埋蔵文化財センターに呼びかけたもの,とあります。

記事には「小学生が主役の『ヒメミコ』に扮した古代行列とシニア連合会による『火起こしの儀』で開幕」と書かれています。その様子を紹介する写真が一枚。解説には「人気を集めた大中遺跡まつりの火起こし体験コーナー」と説明が付されています。写真には,マイギリ式発火法で参加者が体験している風景が写っていて,ざっと見ただけで8組が体験しています。

さて,なにが問題なのか,です。このことに関連してこれまでに何度か文章化していますので,簡単に触れるだけにしておきます。

マイギリ式(下写真)は近世(江戸時代)の発明品であって,けっして古代の道具ではないという点に関して。そのことが常識になりつつある今,こんなふうに古代の生活様式とマイギリを結び付けるかのような記事が依然として当たり前のように書かれるのははっきりいって困ったことです。読者に大きな誤解を与える以外の何ものでもありません。


国立吉備青少年自然の家の例ですが,そこでは活動プログラムに火起こし体験が組まれています。そのうちの一つ“舞錐”には次の説明が付されています。「近代になって,儀式用に開発された道具。古代の火起こし方法ではない」。わざわざ断り書きを入れるのは余計な誤解が生じるのを防ぐためでしょう。もしかすると,これまでに誤解が生じた結果講じられた対策なのかもしれません。

もう一つの例を挙げておきます。広報紙『埋文にいがた』(№41/2002年12月25日発行)にコラム『発掘から見えてきた発火具の歴史』 には,以下の記述があります(赤字)。

火鑽棒をどのように回転させるかにより「キリモミ式」「ヒモギリ式」「弓ギリ式」「舞ギリ式」と、分類することができます。しかし、出土遺物の中ではっきり摩擦式発火具といえるものは、現在のところ火鑽板と火鑽棒のみで、この組み合わせの発火法の「キリモミ式」発火法が古代以来行なわれていたと考えられています。

大中遺跡は弥生時代の住居跡ですから,当時の発火法はせいぜいキリモミ式(下写真)とか,ヒモギリ式,あるいはユミギリ式あたりと推定してよいでしょう。鉄はまだ使用されていない時代なので,火打ち式発火法はありませんでした。それが登場するのは鉄器が使われ始めた古墳時代。それも儀式的な程度です。


体験コーナーで,どんな説明があって,担当者はどんな解説をしたのか,気になります。さらには,火起こしの儀で果たしてキリモミ式が採用されたのかどうか,これも気がかりです。

正しい歴史認識から,きちんとした歴史像がかたちづくられます。一度インプットされた誤解は,迷信のごとく頭に巣くいます。これが,人を誤った歴史認識に導くきっかけになります。啓発に関与する人は心得ていただきたいものです。

なお,主催者の考古博物館の担当者はもちろん歴史の専門家ですから,以上の認識は当然あります。こんな断定がなぜできるかといえば,8月に行われた「青少年のための科学の祭典 2014」の配布冊子中p140に,担当者Fさんの原稿『再現! 古代の火おこし』が記載されていて,次の記述(赤字)が見られるからです。

火おこしは博物館などで行われる古代体験の定番メニューです。はずみ車を利用した舞ギリ式が一般的ですが,これは江戸時代中頃に始まった新しい方法で,両手に挟んだ棒を回すモミギリ式や弓を使った弓ギリ式が本来の方法です。

それなら,体験コーナーでどんな配慮があったのか,一層気になってきます。そして,いくら報道の自由だとはいえ,歴史の本質から外れた内容を誤解されやすいかたちで記事にした記者氏に注文を付けたいと思うのです。発火法体験はなんでも結構,参加者に気に入ってもらえば結構,そんな道具と化させてはなりません。

「とりあえず年代考証はきちんとお願いします」。上述の誤解を解こうとしてあちこちで書き,語っている者としての小言です。自身がかつて味わったほろ苦い経験にもとづく自戒の弁でもあります。 

 


スズメガの幼虫二種

2014-11-07 | 昆虫

畑で野菜の世話をしているときのこと。ナスの茎を抜いて畝を耕そうとしていたら,土の上にスズメガの幼虫が二つ。幼虫としては大きくて迫力十分な体型をしていました。一つは緑がかった個体で,もう一つはそれより大き目の褐色の個体です。たぶん,ナスの葉を食べてここまで大きくなったのでしょう。


緑色の個体は,たぶんクロメンガタスズメでしょう。カラフルな体色は,一度見たら忘れられません。手元資料によれば,ナズは食草の一つに入っています。最近本州で見かけるようになったということなので,比較的珍しい種といえます。体長5cm。


褐色の個体はエビガラスズメのようです。体長6cm。大好きな食草はサツマイモです。さて,ナスは食べるのかどうか,わかりません。ほんとうに食していたのでしょうか。


どちらも動きはたいへん鈍く,丸まった姿勢を伸ばしてみると,なるがままといった感じで真っ直ぐになりました。これは寒さのせいでもあるでしょう。

エビガラスズメの越冬態は成虫ですが,クロメンガタスズメのそれは不明とか。こんなことがまだわからないとはおもしろいなあ思います。

  


秋模様

2014-11-06 | 随想

秋が深まります。野山の風景が日ごとに変わっていきます。色の変化がみごとです。秋ならではの静かな静かな佇まいが,あちこちにあります。そこここの風物詩がこころを和ませてくれます。

山際に生えたアメリカセンダングサの花で,キタテハを一頭見かけました。翅の縁を見ると,鋭い切れ込みがグイグイッとばかりに続いています。これがこのチョウならではの姿。傾きかけた西日を受けて,懸命に蜜を吸っているようでした。キタテハは成虫で越冬します。休眠に入る前に栄養を蓄えようとしているのでしょう。


クリの葉の裏に,キタキチョウが四頭ぶら下がっていました。一頭が去った後,三頭がまだぶら下がっていました。類が類を呼ぶといいますが,仲間を識別する能力はやはり大したものです。生得的な力だとはいえ,ついつい自然のふしぎを感じてしまいました。


木に巻き付いて登っていくヤマノイモに,ムカゴが無数に付いていました。葉が黄色く色づき,ムカゴが熟しているのがよくわかります。あちこちにこの風景が見られるのは,前年までに地表に落下したムカゴが芽を出して繁茂したからなのです。

 

 


もちろん,大自然で見かけたムカゴは食材にしてありがたくいただくことにしています。 申し分のない味覚を届けてくれるでしょう。近頃では道の駅辺りだと,パックに入れて販売されています。それを買うより,自分で採集したものの方がずっとすてきな匂いを届けてくれます。

各地から雪の便りが届き始めました。わたしたちの地方で初雪を見るのはいつになるでしょうか。わたしの子ども時代は,勤労感謝の日の頃は大抵雪がちらついていたものです。

 


4齢幼虫から終齢幼虫へ

2014-11-06 | ルリタテハ

脱皮は大変化です。それは観察する者にとってはもちろん,幼虫のいのちにとってもそうなのです。

そのように書くと,いかにも幼虫の内面までわかっているような感じですが,皮を脱いで次のステップに移っていくその前後を観察していると,そうとしか思えません。簡単に脱皮するわけではありません。その助走段階が大したものなのですから。

“大したもの” の中身は,ただずっと静止に近い格好で一定の場所にいるだけです。“ずっと”と言い表しましたが,わたしが見た今回の4齢幼虫の場合は2日以上その場を動きませんでした。

 


ほんの時折,頭の向きを逆にして向こう側に向いたり,またこちら側に向き直ったりするだけなのです。からだはプクッと膨らんでいて,それはまるで水を満タンに入れたビニル袋を連想させます。見ると,はっきり「ははーん,脱皮近しだな」と納得できます。 

脱皮への準備態勢が整うと,脱皮。観察している限りでは,いつ始まるのか,それは予測しがたい気がします。とにかく,「アッ,始まった!」というふうなのです。

 

 
そんな2日間を経て脱皮を観察できると,感動的です。 いのちをめぐるドラマは観察者のこころを強く引き付けます。 

 


11月4日,東海道新幹線

2014-11-05 | 日記

11月4日(火)。晴れ。

所用があり,東海道新幹線で関東方面へ。途中,富士山が見えることをたのしみにしながら。出発時から晴れていたので,大いに期待していました。

そのとおり,バッチリ見えました。山頂付近は冠雪。雄大な裾野が緩やかな曲線を描いてのびていました。 

 
新幹線は,開通以来50年が過ぎました。そのことをマスコミはいろいろ取り上げていますが,駅構内にもそのことを記念するメッセージがあちこちに。

 
50年前,新幹線が開通したときのことを,わたしはよくよく覚えています。なにしろ『夢の超特急』と呼ばれたのですから。なにしろ,わたしは「超特急に乗ってはたらくぞ!」と夢を描いたのですから。そして,夏休みの課題で超特急「ひかり」のポスターを描いたものですから。

あれから50年の歳月が過ぎたということです。なんとも感慨深いこと!

ついでに,行った先で見かけた野生植物を一つ。どうもウマノスズクサの一種のような気がしてなりませんでした。葉のかたちといい,匂いといい。でもそっくりではないので,よくわかりません。

 

 

 


オオヒメヒラタアブの孵化

2014-11-05 | ヒラタアブ

オオヒメヒラタアブの卵が孵るのを,できれば観察したいなと思っていました。それでレンズを向け,いつでも撮影できる準備を整えておきました。

やがて,かなり黒っぽい感じがしてきました。色から判断して,いかにも孵化が近いという感じです。

ところが,しばらく目を離してから見ると,もう孵化したあと。視野内に幼虫は見えませんでした。さっさと移動したらしいのです。


それで茎や葉を探しましたが,姿は見えません。「よし,花にいるかもしれない」と思い,よくよく見てみました。すると,花弁の隙間のようなところに,姿がわずかに見えました。幼虫はせわしなく動いていました。花の中央付近に来たときに撮ったのが,下写真です。


これまでの観察経験からすると,幼虫は餌になるアブラムシを探しているはずです。その後花弁に移っていきました。餌を探す行動とはいえ,孵化直後の幼虫にしてはじつにさっさと動くので,改めてびっくり。


これ以上の観察は到底できません。結局,庭のキクの花に戻してやりました。蛹にまで成長してくれたらいいのですが……。

 


実はファジー,蛹化場所

2014-11-04 | アカタテハ

野外でアカタテハの蛹を観察していて,「ヘェー,そうなんか」と思ったことが一つ。それは,蛹化場所が食草に限っていなくて,ときには近くの別の草木であるという点です。

食草から遠くに移動するのはまったく無駄なので,まずあり得ないでしょうが,近くで安全な場所なら「蛹化場所を選ばず」のようです。

わたしがそのことを感じたきっかけは,終齢幼虫がクズの葉をつづっているのを見たときです。それで,蛹を探す際に非食餌植物にも注意を払うように心がけることにしました。すると,どうでしょう。

クズでちゃんと蛹化している別の個体を見つけたのです。それも三つもの事例です。クズは葉が大きいので,完全につづってしまうということはむずかしいと思われますが,一つは二枚の葉を寄せて完全に筒状に巻いていました(下写真の蛹①)。


もう一つの事例では,不完全ながらラッパ状に手入れしてその奥で蛹に変身していたのです(上写真の蛹②)。

 


3例目は,葉をつづろうとした跡形はあるものの,途中で放棄した個体です(下写真の蛹③)。


これらを見かけた同じ日,木の葉でも見つけました。木はアカメガシワで,カラムシの脇に生えた低木でした。こんな大きな葉をつづるわけにはいきません。葉はあるがままの状態で,葉の表面の外から見えにくい位置で蛹化していました。ぶら下がる,風雨や日差しを避ける,外敵の目に触れにくい,そんな点で効果があるのでしょうか。

 


この発見でつながって見えてきたのは,飼育箱で飼っているときに,プラスチックに尾端をくっ付けて蛹化するのと似ている点です。人工物,自然物の違いがあるだけです。場所を選り好みしていては,一匹でも多くの子孫を残さなくてはならないという種維持の大原則から反れてしまいます。結構自然環境への適応性があるのだな感じ入ったのでした。


細かい話なのですが,これも観察の事実から見えてくるアカタテハの生態であり,昆虫の観察ポイントでもあります。

 


モンシロチョウの恋

2014-11-03 | 昆虫

モンシロチョウはごくふつうに見かけるチョウの代表でしょう。畑では四季をとおして,成長のどれかの過程を観察できます。小学校の学習材で取り上げられるのは,それだけ馴染みがあって,飼育が容易だからです。

わたしは本ブログでは,モンシロチョウについてまず取り上げたことがありません。理由は簡単。むかしから,周りはモンシロチョウだらけ。わたしの好奇心を引き付けてくれるほどの未知性はなく,観察対象としてほとんど魅力が感じられないからです。

しかし,「ほほーっ!」と感じ入るときは,それなりに話題にしておきたいと思います。モンシロチョウには申し訳ありませんが,じつに勝手なものです。

畑のハクサイで,交尾をしているペアを見かけました。そこに,別のモンシロチョウがやって来たために,ペアは舞い上がり,三匹のチョウはしばらくもつれ合うようにして畑の上を飛んでいました。邪魔に入ったチョウが去ると,またハクサイの葉に戻ってきました。


近寄ると,割合敏感にこちらの動きを察知して舞い上がりました。そうして,近くのハクサイにまた降りるといった感じです。


そこに再び別のモンシロチョウが飛来して二匹を邪魔しかけました。それで,これまたもつれ合いながら舞い上がっていきました。おかしな話ですが,やっぱりまた元の野菜畝に帰ってきました。畑には別の野菜がたくさん植えられているというのに。

ハクサイだという認識がちゃんとできているようです。ふしぎな能力です。もちろん,ハクサイに産卵するはずです。  

 


病院の“健康フェスタ”ボランティア

2014-11-03 | 日記

11月3日(月)。地元にある病院の健康フェスティバルにボランティア参加。2年ぶりです。わたしの役割はステージ係。そこでは歌,踊り(ダンス),器楽演奏などが披露されました。

ステージの脇にいて,いくつかの出会いがありました。子どもたちが数組出演してダンスをしたのですが,その指導者お二人とつながりができたのです。それも,わたしのずいぶん身近な方ということを知り,びっくり。ほんとうによかったなあと思いました。

子どもの育ちに地域人としてエネルギッシュにかかわっていらっしゃることがわかり,加えて,わたしのしごと上のことで,機会があればこの方にきていただける道筋が開けたということで,なかなかすてきな出会いとなりました。

 


たくさんのブースが出ていましたが,その一つでの出会いもまた特筆しておきたい点です。「子どものことならどこへでも行って,ボランティアをします」とおっしゃる方にお出会いできたのです。

こういう人たちが,子どもをしっかり支える力になっているという現実にふれました。こころに残る一日になりました。