このブログで、万葉歌碑を取り上げるのは、昨年の12月に書いたのが最後、ほぼ9か月ぶりである。最近は、古墳ばかりなのでたまには万葉集というのもいいでしょう。
さて、今回は、石舞台公園を祝戸の方角に抜ける途中に、玉藻橋というコンクリート造りの車1台分ぐらいの幅しかない、小さな橋は、飛鳥川に掛かっている。そのたもとに「玉藻橋」と題された万葉歌碑が置かれている。
歌碑には「明日香川瀬々に玉藻生ひたれどしがらみあれば靡きあらなくに」と書かれている。この歌については、以前「飛鳥の万葉歌碑⑰ ~南都銀行そば、飛鳥川沿い~」でも取り上げている。
ちなみに、歌の意味は。「明日香川のあの瀬にもこの瀬に美しい藻が生えているのだけれども、しがらみが設けてあるのでお互いに靡き寄ることができないでいる。」ということになろうか。
しがらみとは、「水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの。」を言うそうだ。そして、そこから転じて、「引き留め、まとわりつくもの、じゃまするもの」という意味になった。この歌ではしがらみという名詞に、後者の意味を掛けている。
現在では、後者の方、非常にマイナスなイメージで使われることが多そうだ。「もう、しがらみがいらんねん。」みたいな。
男女の仲を妨げるものがあることを歌っているのであろう。そういったものが多いほど、燃え上がるのかね?歌自体は、比較的わかりやすいし、現代の我々にも通じるところがありそうだ。
この玉藻橋、これまで何十回となく飛鳥を訪れているのだが、今回が初めて。まだまだ知らないところがあるのだなあ。
この橋を渡ると、右に行けば橘寺、反対に左に行けば祝戸から飛鳥稲渕宮殿跡の方に向かうことができる。この玉藻橋から、上流を眺めると、小さな滝があり、いかにも急流である。
滝の音を聞くと、何となく涼しげに聞こえるから不思議だ。遠くでまだ蝉の声が聞こえる。
せっかくなので、この道を通って橘寺の方へ向かってみることにした。ちょっと道が狭く、暗いけど、今までは、橘寺から石舞台古墳へは、自動車道を歩いていて、この道は途中、歩道もないし、車の往来も多いのであんまり歩きたくない道だったので、ちょうどいい道を見つけた気がする。
田んぼの畝に、真っ赤な彼岸花が咲いていた。こういう景色も見ることができる。
初秋の飛鳥には、ほんとうに彼岸花がよく似合う。
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