WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

リトル・ジャイアント

2008年01月19日 | 今日の一枚(I-J)

●今日の一枚 208●

Johnny Griffin

The Little Giant

Watercolors0004  何という迫力、何というパワーだ。ジョニー・グリフィン(ts)、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュリアン・プリースター(tb) の3管フロントが、圧倒的な重厚感で迫ってくる。音質も良い。ちょっとエコーがかかったようなアコースティック感が強調されたサウンドだ。グリフィンの伸びやかなブローがなめらかに響く。さほど高価ではない自宅のステレオ装置であるが、まるで、ジャズ喫茶にいるようだ。ウイントン・ケリーのピアノもよく昔ジャズ喫茶で聴いたような音色だ。私はただ、その音の洪水の中にみをまかせるのみだ。

 小柄な身体で大きなプレイをするリトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンの1959年録音作、『リトル・ジャイアント』(Riverside)だ。仕事の忙しさで頭が混乱して整理がつかない時、私はよくこのような音の洪水アルバムを大音響で聴く。脳みそをいったんぐちゃぐちゃにかき回してリセットしするのだ。不要な思い込みや先入観、思考のパターンから解放され、意外といいアイディアが思いつくことがあるものだ。

 ④ 「63丁目のテーマ」が好きだ。かっこいい。これぞ、ハード・バップ。ハードバップとはもともとこういうかっこいい音楽をいうのだ。いつしか私は、身をよじり、クビをくねらせ、手足でリズムを取り、昔ジャズ喫茶によくいた、「自分の世界に入っちゃったオヤジ」になっている。