WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

大津波の現場に立つ(5)~「復興」の度合い~

2012年09月12日 | 大津波の現場から

 9.11は震災1年半ということで、TV等のメディアでもいくつか特集番組があったようだ。私の住む街は、「建築制限」の影響で、他の街、特に岩手県などと比べて産業の「復興」が遅れているといわれているが、それでも幹線道路の復旧や仮設商店街の開設などで外見的には確かに変わってきてはいる。

 私の住む街は、海があってすぐに山があるという地理的な背景もあり、津波の直接的な被害を受けた人と、そうでない人との「格差」の問題が大きくなってきているように思う。私のように、家が流されず仕事もある人間はもう通常の生活に戻っているわけであるが、一方でいまだに仮設住宅で不自由な生活を強いられている人、仕事を失って生活がままならない人などがまだまだ大勢いる。また、経済力のある人は、家が流されてもすぐに新しい家を作ることができるようで、実際私の家の周囲にはここ1年ぐらいで次々に立派な新しい家ができている。

 下の写真は私が子供の頃まで過ごした地区のもので、つい先日まで中学の同級生たちがこの街にひまわりを植える活動をしていた。上の2枚の写真は、以前アップした記事のもので、震災後1か月程度たってからのものである。一方、下の2枚はほぼ同じ場所を撮影した現在(2012-9-9)のものだ。これが「復興の度合い」である。瓦礫が片づけられ、幹線道路もかさ上げしてなんとか復旧されたが、何もないことには変わりない。地盤が沈下していたるところに水たまりがあるのがわかる。このあたりは、新しい都市計画のための建築制限がかかっており、勝手に工場や住宅を建てられないことになっている。けれども、当の「新しい都市づくり」は一向に進んでいないのが現状である。

 3枚目の写真の幹線道路の奥の方に、仮設商店街「復幸マルシェ」が見える。中学・高校の同級生のひとりはここに店を構えて頑張っている。

(写真をクリックすると拡大されます)

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