WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

仮性包茎を想起してしまうジャケット

2014年11月23日 | 今日の一枚(O-P)

☆今日の一枚 382☆

大貫妙子

Mignonne

 大貫妙子自身の評価は高くないようだが、私自身は大好きなアルバムであり、恐らくは大貫妙子の作品の中で最もよく聴いたアルバムだと思う。あまりに聴きすぎたせいで飽きてしまい、ここ数年はご無沙汰だったのだが、少し前にCDを購入したことがきっかけにまた聴くようになった。1978年リリースの大貫妙子『ミニヨン』、1980年代前半に出合って以来、ずっと貸しレコードをダビングしたカセットテープで聴いてきた。素晴らしいの一言である。アルバム全体に漂う、気高い感じがいい。佳曲ぞろいであり、曲の配列もよく練られている。サウンドもこの時代としてはかなり斬新なものだったはずだ。長い年月聴き続けてきたこともあり、私にとっては一曲一曲が感慨深い。②「横顔」の初々しさや、⑨「海と少年」のさわやかさ、⑩「あこがれ」の誠実さは、心の深い部分に共振する。ちょっと意外なところだが、④「空をとべたら」が私は好きだ。ノリの良さとポップなメロディーラインに魅了される。

 名曲の誉れ高い⑧「突然の贈りもの」に否定的な見解はまったくない。その詩的世界に首肯し、同化するのみである。自分のことが歌われていると誤解するほどである。けれど、大貫妙子がかつて坂本龍一と恋人同士で一緒にくらしていたなどという、ゴシップ情報をwebで知ってしまい、この曲が坂本龍一のことを歌っているのではないかなどと考えてしまうようになった。下司の勘ぐりである。作品の本質にはまったく関係がないことだ。webの功罪か、あるいは私の俗物性の故か・・・。

 印象的で素晴らしいジャケット写真である。大貫妙子も若々しく可愛らしい。素敵な女性だ。「ミニヨン」=「可愛らしい女の子」である。ところがである。この素晴らしいジャケットをみると、いつも仮性包茎を想起してしまう。昔、雑誌の挿画か何かで同じようなイメージのものを見たのである。自分の下品さ、俗物性を思い知るのみである。